あたしの先生
2
「先生のこと、好き?」
ある意味教師の言葉とは思えないそ言葉に、あたしは自分の耳を疑いなが
ら、後ろに立つ先生を見上げた。
「えっ……? えっ、なんですか?」
「だから……。真純ちゃん、先生のこと好きかなぁって」
「その好きって、先生として……ですか? それとも……」
「もちろん、 "それとも" の方よ」
「えぇ?」
あたしは一応そう驚いて見せた。でも実は由美子先生がそう思うのも無理は
ない。あたしとして十分うなづける。
だってあたしは、由美子先生のことがずっと好きだったからだ。
さっきの由美子先生の言い方を借りるならば、 "もちろんそれともの方よ"
ということになる。つまり恋愛対象として好きということだ。
だから由美子先生が、そんなあたしの視線や気持ちに気がついて、そんな質
問をしてきても当然といえば当然なのだ。
「ねっ、どうなの?」
「どうなのって……、言われてもぉ~」
あたし口ごもっている間に、先生は近くの椅子を持ってきて隣に座った。
「それじゃ先生から言ってあげる。先生は真純ちゃんのこと、好きよ」
あたしはまだキャンバスに向かっているが、先生はあたしに向いている。
「えっ?」
「さっ、今度は真純ちゃんの番よ。先生のこと、好き?」
「あっ、あたしは~」
あたしはもう恥ずかしくて、俯いてしまった。
「正直に言って……。今なら誰もいないから。ねっ」
「は、はい。あたしぃ~」
でもその後が続かない。たった一言、短い言葉なのに……。でも由美子先生
はそんなあたしを促すように、相槌を入れてくれる。
「うん」
「実は……」
「実は?」
「す、好き……、です」
両目をギュッとつぶって、全てを吹っ切るように言った。
「ホント? よかった」
「えっ?」
由美子先生は満面の笑みを浮かべていた。
「先生嬉しいわ。真純ちゃんが先生のこと好きでいてくれて」
「由美子先生……」
「だって、両思いってことでしょう?」
まぁ、そう言われればそうだけど、あたしだって確かに嬉しい。でも生徒と
先生だし。こういう関係って、よくいう禁断っていうかなんていうか、その
ときのあたしの思いは複雑で、あたし的にはどちらかというと、胸にそっと
仕舞っておきたかった想いでもあって……。
だからあたしは、由美子先生のように手放しでは喜べなかった。
それから暫くあたしと先生は、誰にも知られず熱いアイコンタクトを交わす
日々が続いた。
数週間後。あたし達はまた美術室で二人きりになった。
みんなが教室を出て行くと、先生はあたしに足早に歩み寄り、唐突にこう言
ったのだ。
「ねぇ、真純ちゃん。キスしよっか」
「えっ?」
「いいでしょう。キスくらいしても」
そしてあたしは、先生にファーストキスを捧げることになるのだ。
「先生のこと、好き?」
ある意味教師の言葉とは思えないそ言葉に、あたしは自分の耳を疑いなが
ら、後ろに立つ先生を見上げた。
「えっ……? えっ、なんですか?」
「だから……。真純ちゃん、先生のこと好きかなぁって」
「その好きって、先生として……ですか? それとも……」
「もちろん、 "それとも" の方よ」
「えぇ?」
あたしは一応そう驚いて見せた。でも実は由美子先生がそう思うのも無理は
ない。あたしとして十分うなづける。
だってあたしは、由美子先生のことがずっと好きだったからだ。
さっきの由美子先生の言い方を借りるならば、 "もちろんそれともの方よ"
ということになる。つまり恋愛対象として好きということだ。
だから由美子先生が、そんなあたしの視線や気持ちに気がついて、そんな質
問をしてきても当然といえば当然なのだ。
「ねっ、どうなの?」
「どうなのって……、言われてもぉ~」
あたし口ごもっている間に、先生は近くの椅子を持ってきて隣に座った。
「それじゃ先生から言ってあげる。先生は真純ちゃんのこと、好きよ」
あたしはまだキャンバスに向かっているが、先生はあたしに向いている。
「えっ?」
「さっ、今度は真純ちゃんの番よ。先生のこと、好き?」
「あっ、あたしは~」
あたしはもう恥ずかしくて、俯いてしまった。
「正直に言って……。今なら誰もいないから。ねっ」
「は、はい。あたしぃ~」
でもその後が続かない。たった一言、短い言葉なのに……。でも由美子先生
はそんなあたしを促すように、相槌を入れてくれる。
「うん」
「実は……」
「実は?」
「す、好き……、です」
両目をギュッとつぶって、全てを吹っ切るように言った。
「ホント? よかった」
「えっ?」
由美子先生は満面の笑みを浮かべていた。
「先生嬉しいわ。真純ちゃんが先生のこと好きでいてくれて」
「由美子先生……」
「だって、両思いってことでしょう?」
まぁ、そう言われればそうだけど、あたしだって確かに嬉しい。でも生徒と
先生だし。こういう関係って、よくいう禁断っていうかなんていうか、その
ときのあたしの思いは複雑で、あたし的にはどちらかというと、胸にそっと
仕舞っておきたかった想いでもあって……。
だからあたしは、由美子先生のように手放しでは喜べなかった。
それから暫くあたしと先生は、誰にも知られず熱いアイコンタクトを交わす
日々が続いた。
数週間後。あたし達はまた美術室で二人きりになった。
みんなが教室を出て行くと、先生はあたしに足早に歩み寄り、唐突にこう言
ったのだ。
「ねぇ、真純ちゃん。キスしよっか」
「えっ?」
「いいでしょう。キスくらいしても」
そしてあたしは、先生にファーストキスを捧げることになるのだ。