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あなたの燃える手で

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あたしの先生



あたしの先生



PROLOGUE
夢の森駅の西口を出たあたしは、バスターミナルを迂回するように歩き、
目の前を横切る幹線道路の横断歩道へと向かっていた。
あいにく信号は赤で、すでに数人の人が信号待ちをしている。そんな中
に、白い日傘を差した女の人がいた。
あたしは彼女の横に立ち止ると、何気なくその横顔を見た。
白い日傘の下で俯く横顔。それはどこか見覚えのあるその横顔だった。でも
それが誰かを思い出すのに、時間は掛からなかった。
なぜならそれは紛れもなく、高校時代の恩師由美子先生だったからだ。




「あらっ? 先生? 由美子先生……?」
先生は驚きと混乱の中で、あたしを思い出そうと昔の記憶を辿っているよう
だった。
「えっ? あっ、もしかして……、黒木……、さん……?」
「はい。黒木真純です」
あたしは先生が自分を覚えていてくれて嬉しかった。
「あぁ、そうそう、真純ちゃん。久しぶりねぇ、元気だった?」
「はい」
「よかった。忘れられていたらどうしよかと思っちゃいました」
「まさか、よりによってあなたを忘れるわけないでしょう」

由美子先生は『夢の森女子学園大学付属女子高校』、地元では『夢高」で
通っている女子高の美術部顧問で、年齢はあたしとちょうど20歳違いの
46歳のはずだ。

「先生、今から時間ありますか?」
「えぇ、あるわよ」
「何か冷たいものでも飲んでいきませんか? 久しぶりだし……」
「そうねぇ。別にいいわよ」
「それじゃ、そこのカフェで……」
「あぁ、アマデウス? そうね、そうしましょう」
信号が変わるとあたし達は、幹線道路の向こうに見える夢の森商店街へと
歩き始めた。
「でも先生、同じ町に住んでいて全然会いませんね」
「そうねぇ、知らない人でも会う人は毎日会うのにね」
「ホントですよ」
あたし達は商店街に入ると、真っ直ぐそのカフェに向かった。
「なんかこの店、久しぶりです……」
「あらっ、あたしもよ……」

店内はエアコンで冷やされ、それが汗ばんだ肌になんとも気持ちいい。
「いらっしゃいませぇ~」
バイトの子だろう。女子大生くらいの女の子がテーブルにやってきた。
ミニスカートから伸びた白い脚は、かなりな脚線美だ。
「あたしはアイスコーヒーでいいですけど、由美子先生は……?」
「あたしもアイスコーヒーでいいわ」
「それじゃ、アイスコーヒー2つ」
「はい。アイスコーヒーを2つですね」
彼女は伝票に手早く書き込むと、それを手に厨房へと戻っていった。
そんな彼女の後ろ姿に、いやその綺麗な脚に、由美子先生が一瞬釘付けにな
っていたのを、あたしは見てしまった。
「ママさぁ~ん、アイスコーヒーを2つでぇす」
「はぁい。ねぇ響子ちゃん、ちょっとやってくれる?」
「はぁ~い、大丈夫でぇ~す」
厨房から聞こえる二人の声に耳にしながら、あたしは学生時代の由美子先生
とのある出来事を思い出していた。

それはあたしが高3の時。夏休みも近いある日の放課後の美術室。
部活も終わり、みんなで後片付けをしていたときのことだった。
あたしは描きかけのデッサンをもう少し描きたくて、みんなより一足遅れで
片付けを始めた。だからみんなが筆やパレットを洗いに教室を出ていって
も、まだあたしはまだ教室に残っていて、あたしは教室で先生と二人きりに
なって……。
そんな時、由紀子先生が片付けをするあたしの後ろから声を掛けてきた。
「黒川さん」
「はい……」
「先生のこと、好き?」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土