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あなたの燃える手で

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バビロンリング


霧が薄まっていく。少しづつ、少しづつ。
今まで宙を舞う羽のような感覚だった永遠に、上下の感覚が戻りやがて足裏が
何処かに触り、ようやく地に降りた立った感じがしてきた。
そしてその変化は、永遠の目にも現れ始めた。
霧が薄まるにつれ見えてきたのもの、それは石の壁だった。大きな正方形に近
い石を積み上げたような壁。しかもその煤けたような汚れ方は、数百年の経年
劣化を経たよな重厚感がある。絶対にここ数年に建てられたものではない。
それにしても、ここは何処だろう……?
ここが何処かわからない。がしかし、それ以上に問題があった。
それは、動かないのだ。手が足が、そして体が……。何か重いものを付けられ
たように動かない。
やがて霧が全て晴れると、永遠は嫌でも自分の状況が見て取れた。
永遠の両手は黒い鉄の手枷で一つにされている。その両手は吊るされたように
上に引っ張られている。上を見れば手枷につながった鎖が天井の滑車に掛か
り、滑車から壁の糸巻きのようなものに鎖が巻き取られている。
足首にも黒い鉄の足枷が嵌められ、足枷からは短い鎖が床の鉄のリングに繋が
っていた。
何処を見回しても、石、石、石。壁も床も天井も、四方を石で囲まれた石の部
屋だ。
そんな繋がれた永遠がいるのは、どうやらこの部屋の中央あたりのようだ。

「あたし占いをしてたのに。それになにあの壁。前に映画で見た西洋のお城み
たいな……。ここは何処? どうしてあたしこんなところにいるの? ちょっ
と誰かぁー」
すると永遠の後ろから、さっきまで聞いていた声が聞こえた。
「ようこそあたしの城に、お嬢さん」
そう言いながら永遠の前に回り込んできた女。それはあの占い師だった。
「あぁ、う、占い師さん。ここは何処。これって……」
「ここは、そうだねぇ。お前さんの夢の中ってとこかねぇ」
「えぇ? 夢?」
今まで俯いていた占い師の顔を、永遠はその時初めて正面から見た。

その顔はまさに年齢不詳だった。30代半ばにも見え、見ようによっては50歳
を超えているようにも見える。そして日本人離れの彫りの深いその顔は、もう
外人そのものだった。肩よりも長い黒髪は怪しく黒光りし、その全てを背中に
垂らしている。

「まぁ、夢といってもピンと来ないかもしれないねぇ。何しろ寝てるわけじゃ
ないんだから」
「……」
「それにこれはまぎれもない現実。この世界の何処でもない何処か。とでも言
っておこうかねぇ。まぁ、そうとしとしか言いようがないところだよ。それか
ら、あたしの名前はドロシア。ドロシアだよ。覚えておくんだねぇ」
「……」
「おやおや、返事もできなくなったのかい?」
「あっ、は、はい……」
「そうそう、いい子だねぇ」
そう言いながらドロシアは永遠の後ろから近づくと、何処に持っていたのか、
大きな裁ちバサミを見せた。
「いやっ、なに、なにする気」
怯える永遠の顔の前で、その大きなハサミをチョキチョキと動かしてみせる。
「さぁ、お前の肌を見せておくれ」
ドロシアは有無を言わせず、永遠の服を手当たり次第に切り裂いていった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土