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あなたの燃える手で

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バビロンリング



クリスマスの夜に、一つだけ願いを叶えてくる指輪。
バビロンリング。
もしそんな指輪があったら、あなたならどうしますか?
これはそんな指輪を手に入れた、ある女の子のお話です。
でもこの指輪。なにやら一癖ありそうで……。



バビロンリング




PROLOGUE
12月24日 午後10時。
永遠(とわ)は駅からの帰り道を、一人歩いていた。
「もうこんな時間まで残業なんて、本当に信じらんない。うちの会社はブラッ
クか……。今日はイブよ、イブ。クリスマスイブなのよぉ」
永遠の脳裏にはもっと明るく楽しい、友人たちと盛り上がる一夜が駆け巡る。
「いいなぁ、みんなでワイワイ食事したりさぁ、パーティーしたりさぁ……。
あたしもクリスマスしたいなぁ~。それなのに一人暮らしのアパートで、膝を
抱えてひとり酒って。あぁ~もう何でよぉ~。どうしてなのよぉ~」
永遠はいつもの道を1本遠回りをして、コンビニへと向かった。



1
「こうなったらもう、コンビニでおでんでも買って……。本格的に飲むわ、飲
んでやるわ。えぇ、えぇ、飲んでやりますとも」
しかし、いつものコンビニは休みだった。
「えぇ? 休み? クリスマスイブにコンビニが休みって。あり得ないんです
けど……」
永遠は仕方なくそのままコンビニの前を通り過ぎた。すると今度は道が工事中
で、回り道をするように臨時の標識が出ている。
「えぇ、何よぉ、何なのよぉ。どこまであたしを虐めれば気が済むのよぉ」
もう1本遠回り道をすることなった永遠。遠回りをすればするほど道は寂し
く暗くなっていく。
そんな道を歩く永遠の前に、ぼんやりと明かりが灯っているが見えた。

それはまるで、宙に浮いたシャボン玉が光っているようにも見える。しかし人
の頭ほどもあるそれは、とてもシャボン玉の大きさではない。
「えぇ? 何あれ? 教会の明かり?」
この通りは教会がある通りで、これといった店はない。逆にいえば、あるのは
教会くらいのものだ。
「えぇ~、ちょっとぉ~。怖いんですけどぉ~」
それでも好奇心が勝つのか、永遠はその光に向かって歩き、やがて教会の前ま
でやって来た。
「教会の中から……? さっきまで道で光ってたと思ったけど」
「こんばんは」
イブの夜になんの飾り付けもしていない簡素な教会。そんな教会の門の暗がり
から、永遠はいきなり声をかけられた。
「きゃっ。……えっ、あっ、こ、こんばんは」
そこには黒いコートのようなものを身につけた、女の人が立っていた。
彫りの深い濃いめの顔。肩を超える波打つ髪。身長は永遠より5センチは高い
ので、165cmはあるだろう。体つきはコートを着ているからわからないが、
胸は大きいようだ。歳は三十半ばから四十半ば、もしかしたらそれ以上にも見
え、何とも掴みようがなかった。
こんな暗がりに黒いコート、気がつかなくてもしょうがない。

永遠は辺りを見回した。でもこんな時間、教会に人がいるはずもなく……
頭の整理がつかないままに、永遠を声をかけられた。
「あたしは占い師。。あたしが何者か、怪しんでいるんだろう? お嬢さん」
「い、いえっ、あたしは、そんなっ、別に……」
でもこの教会で占いをしているなんて、聞いたことがない。
「占い、興味あるの? お嬢さん」
でも相手は正直おばさんだ、いざとなれば……。
「えっ、えぇ、ちょっと」
「よかったら占ってみる? 今夜はクリスマスイブだから、タダでいいわ」
「タダ? タダって、無料ってこと……、ですか?」
タダ、無料という言葉に、永遠の心がグラつき始めた。
「そうよ。ねっ、占ってあげるから、こっちにおいで。お嬢さん」
永遠は怖くもあったが、彼女について教会の敷地の奥へと歩いていった。
「あのう、教会の中じゃないんですか?」
「あぁ、そうね。もうすぐだから。ほらっ、あれよ」
前を歩く彼女が指差す先に、いつの間にか小さな石造りの小屋が
あらわれた。その小さな窓からは明かりが漏れている。
さっき見た光の玉は、あれだったのだろうか? それとも……。
永遠は不思議に思いながらも、彼女とその小屋に入っていった。
「どうぞ、入って……、さぁ」
「あっ、はい。おじゃまします」
永遠は彼女にペコリと頭を下げた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土