4「いらっしゃいませぇ」都会の片隅にひっそりと佇むバー『蒼い蟷螂』。その一見を許さぬ重厚な扉を一人の女が開けた。普段からの着用しているのか、着ているグレーのスーツはとても熟れ(こなれ)感があり、スッと伸びた背筋やその歩き方はデキる女を感じさせる。全体的に漂うその雰囲気から、彼女の仕事は "お堅い仕事" を連想させた。「えぇっと、水割りをください」そう言って彼女は、八席あるカウンターの一番奥に腰掛けた。...