ミセスNに伝言PROLOGU「奈々、いいの? こんな時間まで……」「いいの。娘はもう大きいし、あの人は仕事で外食。だから誰にも気兼ねなんてすることないし、今日はママとこうしていたいの」「まぁ、悪い人ね……」都会の片隅にひっそりと佇むバー『蒼い蟷螂(カマキリ)』。その一見を許さぬ重厚な扉には、CLOSEDの札が掛けられていた。1八席のカウンターに、四人掛けのテーブルが一つだけの店内。そのテーブル席のソファに、二人の女...