ママと麗子の二人旅PROLOGUEその土地は、周りを高い山に囲まれた扇状の盆地になっていた。その扇を二分するように、中央には大きな川が流れている。町のあちこちからは豊富な水が湧き、その水は毛細血管のように一軒一軒の家に流れ込み、生活用水として使われる。「見てぇ、麗子……。まさに古都と呼ぶに相応しい街並みじゃない?」「そうね。京都? 奈良? でもそんな広くないし……」「鎌倉くらいじゃない?」「そうかも……。はぁ、...