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ママと麗子の二人旅



ママと麗子の二人旅


PROLOGUE
その土地は、周りを高い山に囲まれた扇状の盆地になっていた。

その扇を二分するように、中央には大きな川が流れている。
町のあちこちからは豊富な水が湧き、その水は毛細血管のように一軒一軒の
家に流れ込み、生活用水として使われる。

「見てぇ、麗子……。まさに古都と呼ぶに相応しい街並みじゃない?」
「そうね。京都? 奈良? でもそんな広くないし……」
「鎌倉くらいじゃない?」
「そうかも……。はぁ、何だか空気が美味しいわぁ」

二人は黒塀の続く細い路地から角を一つ曲がり、町の中央を流れる川沿
いの道に出た。
「何だかそこらじゅうに神社があるわね」
「うん。それに木造の家が多いわ。ねぇ、見てこの柳、凄く太いわ」

川沿いに並ぶ柳の枝が、二人を町の奥へと誘うように揺れている。
そんな柳に誘われるように、二人は川を上流へと歩いて行った。
やがて二人の前に、山の麓に隠れるようにして建っている、『卍庵』が
見えてきた。

1
数週間前。
麗子は閉店後の『カフェ アマデウス』の店内で、この店のママの良子とテー
ブルで向かい合って座っていた。二人の傍らには、飲みかけの白いコーヒー
カップが置かれている。

「ねぇ、行きましょうよ。麗子。あなたいつも忙しいんだから、お正月くら
いしか時間無いでしょう?」
「お正月だからよ。お正月くらいゆっくりさせて頂戴……。それにマリア
は……? またお留守番?」
麗子がコーヒーを一口飲んだ。
「いいじゃない。たまには二人で……。この間パリに行った時だって一人に
したんだし」
ママはコーヒーカップを両手で持つと、体を温めるかのように口を寄せた。
「でもあれは仕事で……」
「あの時に比べれば今回は国内だし、三泊四日よ。問題ないわよ。それにマ
リアちゃんだって分かってくれるわよ。あたしとなら……」
「あらっ、大した自身ね」
「まぁね。あたしとマリアちゃんの仲だから……」
「うっふふっ。まぁ、いいわ」
「それで、宿は決まってるの?」
「もちろん。宿はココ。卍庵っていうの」

良子は友達から持ったらしいパンフレットをテーブルに広げた。
そこには年代物の和風旅館、庭園、料理、古都の景色など、数枚の写真が載
っている。
「卍庵……?」
「そう。チョット前にあたしの友達が、かすみって言うんだけどね。ココに
泊まったの。それはそれは色々な体験をしたらしいわ。まさに女の為の女の
宿なんだって」
「それって……、良子が言うと、そう言う意味にしか聞こえないけど」
「そうよ。まさにそう言う意味。何しろ江戸時代からの男子禁制……、女だ
けの宿なんだって。客はもちろん、従業員もみんな女。男なんて一人もいな
いらしわ」
「へぇ~」
「でも、どうして現代までそんな宿が……?」
「多分、昔から女しか愛せない女達がいた。ってコトじゃない?」
「あたし達みたいに……?」
「うっふふ。何しろ卍庵の正式名称は、 "百合の宿 卍庵" っていうらしわ」
「百合の宿……って、まさかそのかすみさんのした体験って……」
麗子の目が妖しく輝きだした。
「そうよ。だから言ってるじゃない。ソコの従業員が夜な夜な来て、朝まで
責めたり責められたりだったらしいわ」
「女同士で……?」
「もちろん……。つまり卍庵は、昔から女同士の逢い引きの宿だったってい
うコトよ。さすがに今は普通の宿なんだけどね、でもそれは表向きで、裏で
は女同士の様々なプレイが楽しめるらしいわ」
「まさか……、そんなコトが……」
「それがホントなのよ」
「特に女将さんがオススメらしいわ……」
「で、予約は?」
「まだ」
「早くして」
「ありがと……」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土