4翌日、奈津子は雪化粧を施した街から、ここ「夢の森駅」に降り立った。奈津子は茜色に染まった空を見上げながら西口に出た。まだ正月休み中のこの街に人影はまばらで、薄紫色のダウンに水色のマフラーを巻いた奈津子に、冷たい北風が吹き付けた。見慣れた街並みを眺めながらターミナルを歩き、幹線道路を渡ると商店街に向かった。商店街には旅行に行くときにはなかった、正月の飾り付けが目立っている。重い旅行カバンとお土産の...