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あなたの燃える手で

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蛍の言の葉

         あけましておめでとうございます。
          今年もよろしくお願いします。


2008年、お正月。皆さんいかがお過ごしですか?
親戚中が集まって賑やかなお正月。食べ過ぎ飲み過ぎでもう既に寝正月の方。
TVやDVDを見まくっている方。
皆さんそれぞれの過ごされ方をされていることと思います。

わたし蛍月はと言えば、暇にかまけてショートストーリーを書いてみました。
過去の登場人物達が「アマデウス」に一同に会します。
それぞれ面識のある者無い者、過去の設定はそのままです。中には初めてこの店を訪れる者もいます。
過去のストーリーを知らない方も楽しめるようになっています。

因みにエロはありません。キワドイ会話くらいです。
なぁ~んだ! と思う方もいると思います。でも、そんなの関係……♪
いえいえそうではなく、こういうの、書いてみたかったんです。
一度こういうのを書いてみたかった……。

もしよろしければ、暇つぶし程度に我が儘にお付き合いください。

***********************************




       * A Happy New Year *

             2008

           『AMADEUS』
        ー SPECIAL STORY ー



夢の森駅の西口を出て、バスターミナルを迂回するように歩くと大きな幹線道路にぶつかる。その幹線道路を渡った所にある商店街。
その入口に、カフェ『アマデウス』はあった。

2008年 1月2日 AM 9:00
『アマデウス』のドアが開き、ピンクのロールカーテンが巻き上げられ、大きなガラス張りの壁から新年の光が燦々と店内に差し込んだ。
この店のママ、加納良子はエアコンのスイッチを入れた。温かな風が冷え切った店内を生き返らせるように暖めていく。
「おめでとうございまぁ~す。ママ」
ミニスカートから綺麗な脚を覗かせたボーイッシュな女子大生、響子の元気な声が店内に響いた。この店でバイトを始めてもう2年目になろうとしている。
「あらっ、おめでとう。響子ちゃん。今年もよろしくお願いします」
「今年もよろしくお願いします」
綺麗な脚を揃えてペコリと響子が頭を下げた。
「ママ、今年でとうとう四十路ですね」
「あら、そうだったかしら? 忘れちゃったわぁ」
ママは日本人離れした顔を天井に向けて惚けて見せた。2人は笑いながら厨房へ行くと抱き合い舌を絡ませた。やがて二つの唇が糸を引きながら離れた。
「今年もよろしく……ねっ、響子ちゃん」
「こちらこそ、ママ」
2人の濡れた瞳が熱く見つめ合った。

2008年、アマデウスの最初の客はマリアだった。
マリアは西口の住宅地にある氷見川家の屋敷に、メイドとして働いている。
今日はそこ女主人、麗子も一緒だった。
マリアは白いダウン、麗子は毛皮のコートを着ている。
ドアを開けたマリアを見つけ、響子が満面の笑みで駆け寄った。
「マリア、おめでとう。メールで年賀状出しといたよ」
「おめでとう、響子。あたしはちゃんと年賀状書いたよ。届いた?」
「うん、届いてた。可愛いネズミの絵だね、あれ。でもピンクはどうかなぁ」
2人の会話を余所に麗子は店の奥の隅のテーブルへ歩いていった。
「あっ、麗子様。あっちの席にしましょう」
「ふふっ、いいわよ。いつもそこに座ってるいるの? マリア」
「はい。表がよく見えるし」
「もう、子供みたいなコト言って」
2人は席に付くとブルーマウンテンを注文した。すると席に着いたマリアが何かモジモジし始めた。
「どうしたの? マリア。トイレでも行きたいの?」
「いえっ、昨夜麗子様に責められたアナルがちょっと」
「あらっ、あのオモチャ、ちょっと太かったかしら? 大丈夫? 今夜は秘書の沙樹も呼んでいるのよ」
「本当ですか? 沙樹さん久しぶりですね」
「そうねぇ、今夜は沙樹と2人でじっくりと虐めてあげましょうね。マリア」
「もう、麗子様。こんな所で恥ずかしいですよ」
そこへ、コーヒーを運んだ来た響子が、2人の前にカップを置いた。
新たに3人の女性がドアを開けて入ってきた。
「いらっしゃいませ。……じゃ、またね。マリア」
「うん。がんばってね響子」

3人は奥の隅のテーブルに着いた。
そのうちの一人の顔に、響子はどこか見覚えがあった。
(そうだっ、思い出した。ここで夢の森病院への道を聞いた人だ)
「いらっしゃいませ」
テーブルの傍に立つと、消毒液の匂いが仄かに漂った。
「ブレンドを3つ」
縁なしメガネをかけた、栗毛色の長い髪の似合う女性が注文をした。
見覚えのある女性と響子の目が合った。
「あらっ、お久しぶり。あの時はありがとう。ごめんなさい、何も連絡しないで。……せっかく教えて貰ったのに。あら、おめでとうが先だったかしら?」
「あっ、おめでとうございます。そんな、とんでもないです」
「あたし今、あの病院に勤めているんです」
「あっ、そうなんですか?」
「あらっ、ゆかり。お知り合い?」
縁なしメガネの女性が、たばこに火を付けながら言った。
「ええっ、真弓院長。前にちょっとここで話したことがあって」
「ブレンドを3つですね。少々お待ちください」
響子は厨房に消えていった。
「そうなの。あたしもここにはたまに来るけど、ふぅ~ん。ところで御堂さん。バイブはきちんと入っているかしら? ア・ナ・ル・に」
「はい、院長」
「いくらオムツをしているからって、ここじゃ出せないわよねぇ御堂さん」
ゆかりがそう言いながらリモコンのスイッチを見せた。
「スイッチを入れてあげてゆかり。タップリ浣腸してあるから」
「はい、院長」
ゆかりが御堂を見ながらスイッチを入れた。
「あっ、あぅぅ~。くっくぅぅ~……」
強烈な排泄感が御堂の下腹に襲いかかった。御堂の顔に脂汗が滲み始める。
「お待たせしました。ブレンドで……す。あのぉ、そちらの方、大丈夫ですか? 何か体の具合でも……?」
「ううん、大丈夫よ。ちょっと疲れてるみたい。彼女婦長だから」
「そうなんですか。それならいいんですけど。どうぞごゆっくり」

厨房に引き返す響子は、2人連れの若い女性とすれ違った。
「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」
「どこにする? 沙也加」
「どこでも、……あらっ? あれ院長と婦長だ。それに新しく来た経理の人も。珍しい組み合わせねぇ。あたしちょっと挨拶してくる」
そう言うと、近藤沙也加は院長の座るテーブルに向かった。
「明けましておめでとうございます。院長、婦長、それにえぇ~っと」
「渡辺ゆかりです。おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おめでとう」
院長が軽く会釈をした。
「おめでとう、近藤さん。今年もよろしくね」
「はい、婦長。婦長、何かお加減でも悪いんですか?」
「大丈夫よ。ちょっと疲れてるだけだから。あちらは? お友達?」
「はい、あたしが初めて担当した、森尾千鶴さんです」
「あぁ、あの大腿骨骨折で入院してた……まぁ、そうなの」
「えぇ、もうすっかり歩けるようになったんですよ」
明るい笑顔で沙也加が千鶴を振り返りながら言った。
「近藤さん、あたし達ちょっと打ち合わせがあるから……」
「はい。すみません。それでは失礼します」
沙也加は千鶴の座った席に向かった。
「何だって? 婦長さん」
「打ち合わせだって。お正月から」
「ふぅ~ん。大変ねぇ。ねぇねぇ、それよっか初詣混むかなぁ?」
「たぶんねぇ。混むと思うよぉ、毎年混むからぁ」
頃合いを見計らって響子がテーブルにやって来た。
「いらっしゃいませ」
「えぇ~とっ、あたしはグレープフルーツジュース。あたしはストロベリーヨーグルトジュース」
「はい。少々お待ちください」

2人にジュースを運んだ響子の目に、よく似た姉妹のような2人の女性が映った。1人は首から1眼レフを下げている。
2人はマリアと麗子の座る近く、明るいガラス張りの窓際に座った。
「いらっしゃいませ」
「ブレンド2つと、ケーキ。えぇ~とっ、これとこれ、お願いします」
一眼レフをテーブルの横に置き、メニューを指差しながら言った。
「はい、少々お待ちください」
「ホントに久しぶりね、璃緒」
「うん。もうすっかり証券会社のOLだね。詩織お姉ちゃん」
「そう? このままお局にはなりたくないわぁ。ねぇねぇ璃緒、さっきの夏休みの話だけどさぁ、もう1度聞かせて」
「だからさ、天人沢っていう秘湯の地に行ったでしょ? そこであった人がどうやら……らしいのよ」
「本当? 信じられない。それでアンタ平気なわけ?」
「全然。今年も行くよ。約束だもん」
「へぇ~、意外と度胸座ってんのねぇ」
「詩織お姉ちゃんだって、人間消失でしょう」
「うん、まぁ、消失って言ったら消失だけど……」
「そこの映画館で映画を見てぇ、この商店街を歩いてぇ、この店に入った2人の女性が消えた……。ミステリーよねぇ、それって。水森家はそういう運命なのかしら、姉妹そろって不思議な体験して」
「何言ってんのよ。璃緒」
そこに響子がトレイにコーヒーとケーキとを載せてやって来た。
「お待ちどおさまでしたぁ。ブレンドとケーキです」
「わぁ~、美味しそう。いただきまぁ~す」
「ちょっと待った。お姉ちゃん」
「何よ、璃緒」
「ちょっと待って、写真撮るから」
「ちゃんと写るといいんだけど。もしかしたら……」
「そんなわけないでしょ。大丈夫よ」

響子が姉妹にケーキとコーヒーを運びに行った時、厨房ではママがトースト焼いていた。香ばしい香りが店内にも漂い出ていた。
その時、厨房に声をかけてきた人間がいた。
「おめでとうございまぁ~す。ママ、響子」
「あらぁ、明日香ちゃん。おめでとう。今年もよろしくね」
「はい。よろしくお願いします。あれぇ? 響子は?」
「今、ケーキとコーヒーを運んでいったところよ」
「そうですか」
明日香は首を伸ばして店内を覗き込んだ。そんな明日香にママが声をかけた。
「明日香ちゃん。ちょっとこっち来て」
「何ですかぁ?」
ママは明日香を自分の傍らに呼ぶと、その耳に口を寄せて囁いた。
「ねぇ、今夜、ウチに来ない? 」
「えっ? でもぉ」
「どうせ1人で部屋にいても暇でしょ。いらっしゃいよ」
「ええっ、いいですけど、響子は? いいんですかぁ?」
「響子ちゃんには内緒。ねっ? いいでしょ?」
「えへっ、じゃ、そういうことで……お邪魔しちゃおうかなぁ」
明日香が可愛らしく舌を出して微笑んだ。その顔はまるで、悪戯好きな小悪魔のようにママの目には映った。
「約束よ。今夜、お店は早めに閉めるから。8時頃に来て。この前は台風だったのよね。でも今夜はゆっくり出来るわよ。タップリ朝まで……ねっ」
「わかりました。なんだかドキドキしてきちゃった。あたし」
その時響子が、空のトレイを片手に持って厨房に戻ってきた。
「あっ、響子」
「あれっ? 明日香ぁ、来てたのぉ? おめでとう。今年もよろしく」
「おめでとう響子。今年もよろしくね」
その光景をママが笑顔で見守っていた。
「あれっ? ママ。やにニコニコしちゃって、何かイイコトでもあったの?」
「ううぅん。別に何もないわよ。ねっ、明日香ちゃん」
「うん。別に何も、ねっ、ママ」
「何だか妖しいわねぇ~この2人。まっ、別にいいけどね」
「あらっ、お客さんよ。響子ちゃん」
厨房から2人の人影が僅かに見えた。
「あっ、いらっしゃいませぇ」
背を向けて厨房を出て行く響子を見送りながら、ママと明日香はいウインクを交わしていた。

グレーの制服姿のシスターが店内に立ちつくしていた。何処に座ろうか迷っているらしい。彼女の後には大人しそうな女性が立っている。
そこへ響子が厨房から飛び出してきた。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
「ありがとう。それでは、あそこにしましょうか春奈さん」
「はい、わたしはどこでも……」
シスターは観葉植物のある、壁際の席に座った。
「ブレンドでいいですか春奈さん」
「はい」
「それではブレンドを2つお願いします」
「はい、ブレンド2つですね。少々お待ちください」
響子は再び厨房に向かった。
「この店には来たことは、ありますか?」
「いえ、初めてです。でもとても良い香りがしますね。紫苑様」
「そうですね。イイお店のようです。ケーキもいただきましょうか?」
「はい、是非。何がいいですか? 紫苑様」
「わたしはショートケーキを」
「じゃあ、わたしはモンブランにしようかしら」
春奈は響子がコーヒーを運んできたときに、新たにケーキの注文をした。
「紫苑様、今年最初の金曜日は空いていますか?」
「勿論ですよ。あなたが来るのならば、わたしはいつでも待っています。ちょうどクリスマスのミサで余った蝋燭がありますから……」
紫苑がカップを持ち上げ、コーヒーを一口啜った。コーヒーの湯気が立ちのぼるその向こうで、紫苑の卑猥な唇が妖しく微笑んだ。
「ちょっと怖いですけど、金曜日に参ります」
「ふふっ、怖いですか? それではあのステンドグラスの絵ように、あなたを鎖で繋ぎましょう。そしてじっくりと赤い蝋をあなたの体に……」
そこへ2つのケーキが運ばれてきた。
「ショートケーキとモンブランです」
白い皿にはケーキと、木の柄が付いた銀色の小さなフォークが載っていた。
「今度は、こんなモノも使ってみましょうか」
紫苑はそのフォークを摘み上げると春奈に見せながら言った。
二股に分かれたフォークの先に、ロザリオが光っていた。

『アマデウス』を訪れた客達は思い思いの時間を過ごすと、それぞれの場所へと帰っていった。

「ふぅ~。やっと一段落したぁ」
「お腹空いたでしょう? ピラフならすぐ出来るけど食べる? 響子ちゃん」
「はぁ~い。食べまぁ~す。それじゃ、あたしスープ作りますね」
2人はレジ脇のテーブルに座ると、ピラフに口を付けた。その横ではスープマグから、野菜の入ったコンソメスープが湯気を立てている。
「ママ、今日はお店6時で閉めるんでしょう」
「そうよ、今日明日は6時で閉めるつもりだけど……」
「そっかぁ、6時かぁ。その後暇だなぁ。ママはどうするの?」
「あたし? あたしはちょっと用事があるから」
「そうなんだぁ、あたしどうしよっかなぁ」
「初詣でも行ってくれば」
「初詣かぁ、あんまりパッとしないなぁ」
「さもなきゃ映画とか」
「一人で行くのぉ?」
「そこの映画館なら空いてるかもよ」
「行くならママと行きたい」
「2人でいってまたこの間みたいなこと……」
「あれは、たまたま……」
「ってコトないでしょう? 狙ってたんでしょう。まぁ、あたしも楽しめたけどね。でもあんまりああいう事はやらない方がいいと……」
「そうだっ、明日香に……」
「明日香ちゃんもどっか出かけるみたいよぉ。さっき言ってたから」
その時、響子の携帯がメールの着信を告げた。響子が俯いて携帯を見つめた。
響子の顔が一瞬で笑顔に変わった。
「あらっ、何かイイ知らせ?」
「えへっ、まぁちょっとね」
「なぁ~に? 誰よ。気になるわねぇ」
「ママにはヒ・ミ・ツ」
そう言うと響子は携帯をポケットに戻した。
「さっ、ママ。お昼からも頑張りましょう」
響子は椅子から立ち上がると、食べ終わったピラフの皿とスープマグを両手に、笑顔で厨房に消えていった。

客のとぎれた店内に、モーツァルトの「交響曲第25番」が静かに、そしてゆっくりと流れ出した。


               ーENDー

***********************************

わたしの我が儘にお付き合いくださって、ありがとうございました。

さて、響子は誰からメールを受け取ったのでしょうか?

店を訪れた人間なのか……、
響子のことですから、こっそり誰かにメルアドを渡したのかもしれませんね。
もしかしたら、”わたし自身知らない誰か” かもしれません(笑)
最終的には、皆さんのご想像にお任せします。

それでは今年1年が、皆様にとって良い年になりますように。

Comments 4

黒沢 にゃも  
あけおめです♪

コメントありがとでーす。

今年も、よろしくです♪

2008/01/01 (Tue) 22:48 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
おめでとうございます

良い作品が残せるように、
また1年頑張りましょう。

今年もよろしくお願いします。

2008/01/02 (Wed) 00:36 | EDIT | REPLY |   
マロ  

あけましてオメデトウございます。
今年もお世話になります。

今までのキャラの総出演ですね。
スペシャル感たっぷりです。
そして、最後に響子にメール。
また新たな話に繋がるんでしょうか?
今年も楽しみにしてますんで、ヨロシクです。

2008/01/04 (Fri) 16:42 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
マロさん。おめでとうございます

今年もよろしくお願いします。
(*^_^*)

そうですね。新たな話に繋げてもよかった
かもしれませんね。
今回は読み切りというか、独立した話として
書いたので、今のところその予定はないのですが・・・。

そして新作は、6日の日曜日にスタートの予定です。
乞うご期待!

2008/01/04 (Fri) 19:01 | EDIT | REPLY |   

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