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あなたの燃える手で

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裏道のモナリザ

11:最終話
後ろから声を掛けられ、あたしは目が覚めたように辺りを見回しました。
するとあたしは黒百合書房の本棚の奥、コの字型に凹んだ通称ポケット
で、あのSM雑誌を立ち読みしていたのです……。

あたしは声の主、裏道のモナリザに向き直りました。
「あっ、すみません」
「いいだよ。立ち読みくらい。それより、今ならお客もいないし、その本
を買うならチャンスだよ」
「えっ? あっ、はい……。それじゃ、これください」
あたしはちょっと恥ずかしいその雑誌を、モナリザに渡しました。

それにしても、顔と言い声と言い修道服の彼女そのままだ。まるであの小
説から出てきたような……。

レジで代金を払うと、袋に入れた本を渡しながら彼女が言いました。
「お嬢さんこういうの、興味あるの?」
「えっ、えぇ、まぁ、ちょっとだけ……」
「女同士がいいのかい?」
「えっ?」
「さっき声を掛けた時ね、読んでたページの挿絵が "チラッ" とね」
「あぁ……、実はそれもちょっとだけ……、えへへっ」
「実はあたしもね、ちょっと興味があるんだよ」
「そうなんですか?」
「まぁ、お嬢さんみたいな人は、こんなおばさんじゃイヤだろうけど」
「そんなっ、そんなことないです」
「いいんだよ、そんなお世辞言わなくても……。ねぇ、お嬢さん。あんた
Mだろう?」
「は、はい。そう……、ですね」
「やっぱりねぇ、あたしはSさ。お嬢さんみたいな可愛い人を見るとね、
なんだかSの血が騒ぐんだよ」
「あたしで……、ですか……?」
「そうだよ。こんな可愛い子を思う存分虐めてみたいって、ムラムラして
くるんだよ」
「そんなっ、あたしなんて……」
「ねぇ、お嬢さん……。今度一度どうだい? あたしと……」
「えっ……? あたしとって……」
「勿論そういう意味さ。いいんだよ、ゆっくり考えてくれれば」
「は、い……」
「それで、よかったら、クリスマスにおいで」
「クリスマスに?」
「クリスマスの本屋は暇なのさ。だからクリスマスの夜、アマデウスで待
ってるよ」
「アマデウスって、商店街の入り口にあるカフェ、ですよね」
「そうだよ。いいんだよ、別に無理して来てくれなくても。お嬢さんにも
予定があるだろうからねぇ。でももし暇なら、楽しまないかい?」
「はぁ、でもお約束はぁ……」
「クリスマスまではまだ半月ほどあるから、ゆっくり考えてくれればいい
よ。でも後悔はさせないよ」
「えっ、えぇ……」
「大丈夫。あたしもそんなにハードじゃないから。その代わり時間を掛け
てじっくりと、楽しませてあげるよ。非日常をね。それがあたしの楽しみ
でもあるんだから」
「はっ、はぁ……」

結局あたしはそのまま、行くとも行かずとも言わずに店を後にしました。
そして半月後、クリスマスの夜がやってきました。



EPILOGUE
クリスマスの夜、あたしの足はアマデウスへと向かっていました。
店の前に立つと自動ドアが開き、あたしは温かな店内へと足を踏み入れた
のです。

奥のテーブルに座るモナリザは、あたしと目が会うと会釈をしました。
あたしはモナリザの前に座ると、コーヒーを注文しました。
「ありがとう、来てくれたんだね」
「そんな。こちらこそ、誘っていただいて……」
「そういえばあの本、あたしも読んだよ」
「そうなんですか?」
「今日はこの話と同じようなことをするかい?」
「えっ?」
「勿論あたしにはあんなモノ付いてやしないけどね。でもそのかわり、
色々持ってきたよ」
そう言ってモナリザは、バックの中身をあたしだけに見せました。
そこにはいくつかの縄の束があり、その奥にはバイブやディルドも見え隠
れしています。
「あっ、ホントだ……。なんか嬉しいです」
「犯して欲しいんだろう? あの話みたいに……」
「えっ、えぇ、はい……」
「言ってごらん。犯してくださいって……」
「ここで……、ですか?」
「そうだよ。小さな声でいいから」
「どうぞあたしを犯してください……。あなたの気の済むまで……」
「いい子だねぇ。今日からあたしの奴隷におなり」
「は、はい。よろしくお願いします」
「これからはたまに会って、楽しもうねぇ」
「はい……。是非……」

あたし達はテーブルを挟んで、熱く見つめ合いました。。
ふと外を見ると、窓の外には白いものがチラチラと舞い落ちていました。


ーENDー


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土