12「それではよろしければ、ココに署名と捺印をしてください」真弓は腕を伸ばし、『印』の字のあるところを指差した。白衣から白く綺麗な腕が覗く。スラリと伸びた細い指が、赤いボールペンに絡まっている。当然のごとく爪は短く切られていた。「はい」ゆかりは『献体契約書』に署名し、持参した実印を押した。「それと大概の物は部屋にそろってますが、必要な物があれば御堂に言ってください。それから一つ言い忘れましたが、...