11院長如月真弓の突然の登場にゆかりは慌てて立ち上がり、自己紹介をした。「どうぞ、お掛け下さい」真弓は右手を差しのべるようにして、ゆかりを促した。ゆかりは今日までに揃えておくように言われた書類一式と、献体依頼書と書かれた用紙をその上に置くと真弓に差し出した。真弓は右手に赤いボールペンを持ってそれらの書類に黙って目を通すと、顔を上げてゆかりを見つめた。「早速ですが、今回あなたがここにいらしたと言う...