1「円香(まどか)、円香、こっちへいらっしゃい……」「えぇ、ムーンライト」「今のあたしはムーンライトじゃないわ。今は音無小夜。ただの女よ」小夜はダブルベッドの毛布をまくると片側にスペースを作り、円香をそこへと誘った。「そうね。ごめんなさい、お姉様……」円香はその細い体でスルリと毛布の中に潜り込んだ。それは白い肌からか、それとも栗毛色の長い髪からか、フワリと甘い石鹸の香りが立ち昇った。そして彼女は小夜の...