15奈美はLから渡された紙を見た。そこには名前と携帯番号が書かれている。「森川 楓?」奈美は後ろを振り返った。楓はテーブルで足を組んだまま、グラスを片手に奈美に向かって微笑んだ。グラスを携帯に見立て、耳元で ”電話頂戴” とばかりにその手を揺すった。切れ長の涼しげな目と、綺麗な長い髪が印象的だった。奈美も楓に向かって微笑むと、その紙をポケットに入れた。奈美の視線が、隣で酔いつぶれたエリに戻った。「ほら...