15「森山蘭。時間です、起きなさい」イングリットが大きな金色の砂の入った砂時計を片手に持って、蘭のベッドの傍らに立っていた。蘭はベッドから這い出ると全裸のまま立ち上がった。寝る前にあった体中のミミズ腫れは跡形もなく消えている。イングリット隣の部屋へのドアノブに手を掛けた。いつも開けるドアは同じ、でも部屋はまるで違う。この不可思議な現象にも、蘭は慣れつつあった。イングリットがドアを開けると中は真っ暗...