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あなたの燃える手で

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死神イングリット

15
「森山蘭。時間です、起きなさい」
イングリットが大きな金色の砂の入った砂時計を片手に持って、蘭のベッドの傍らに立っていた。
蘭はベッドから這い出ると全裸のまま立ち上がった。
寝る前にあった体中のミミズ腫れは跡形もなく消えている。
イングリット隣の部屋へのドアノブに手を掛けた。
いつも開けるドアは同じ、でも部屋はまるで違う。この不可思議な現象にも、蘭は慣れつつあった。
イングリットがドアを開けると中は真っ暗で何も見えない。まるで映画館に足を踏み入れたような感じだった。
「さぁ、これが4番目の部屋よ」
既にイングリットの姿はなく、声だけが脳に響いてきた。
蘭の後で突然ドアが閉まった。
暗闇に一人取り残された蘭は1歩も動くことが出来ない。
暫く暗闇に立ちつくしていると、次第に目が慣れてきた。
「なっ、なにコレは?」
蘭は目を見張った。部屋の中央に蜘蛛の巣のように縄が張られている。
蘭はゆっくりとその縄まで進むと、腕を伸ばしそっと縄に触れた。すると指先が縄にくっつき離れなくなった。
思わず力を入れて腕を引き戻した。しかし指はくっついたまま離れず、縄だけが大きく揺れた。
「森山蘭。プレイを始めます」
脳の奥でイングリットの声がした。
すると部屋に明かりが灯った。それは燭台に灯された蝋燭の灯りだった。燭台は12本あり、蜘蛛の巣のような縄を中心に円形に置かれていた。
「こんにちは、森山 蘭」
突然蘭の後で声がした。驚いて振り返った蘭はそこに髪の長い女が一人立っているのを見た。
「あたしの部屋にようこそ」
長い髪、大きな目に大きな口。そして痩せた体に長い手足が付いていた。
その手が蘭の胸に伸び、縄に押し付けた。
「あっ、いやっ……」
蘭の体は縄に張り付いたまま動けなくなった。
「もうあなたはあたしの獲物よ」
そう言って蘭の手足を掴むと縄の中心にずり上げていった。自分では動くことが出来ないのに、この女が触ったときだけ体は縄から離れた。
蘭は蜘蛛の巣の中心にX字型に磔にされた。
「さぁ、これでいいわ」
「あなたは誰?」
「あたしは痛いことなんかしないわ。体を傷つけるようなこともね。だから安心して、蘭……」
女は大きな口を開け蘭に微笑みかけた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土