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あなたの燃える手で

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桃色ティータイム


さゆりと由香に、アイスコーヒーを運んできたのは良子だった。
「どうも……、いらっしゃいませ」
良子が腕を伸ばし、二人の前にアイスコーヒーを置いた。
「こんにちは、良子さん。熱いですわねぇ」
「えぇ、とっても蒸し蒸しして……」
「ところで、麗子さんは……」
「えぇ、そろそろ……」
腕時計を見ながら良子がそこまで言いかけたとき、店のドアが開き淡いピンク
のシャツを着た麗子が姿を見せた。
「あらっ、噂をすればなんとらや、ですわ」
麗子は3人を見つけると手を振りながら近づいてきた。
「もう、2人とも早いわねぇ。あたしが1番かと思ったのに……」
そう言いながら由香の隣に座った。
「あたしもアイスコーヒー……、ねぇ、良子も一緒に飲みましょうよ。今日は
もういいんでしょ?」
「えぇ、3時からは響子ちゃんにまかせてあるから」
「マリアにも手伝って上げてってメールして置いたから、後で来ると思うわ」
「あらっ、悪いわねぇ、マリアちゃんに」
「いいのよ、そんな。あの子だって嫌いじゃないんだから」
良子は1度厨房に入り、両手にアイスコーヒーを持って戻ってきた。


この4人が顔を揃えることになったのは、今から1ヶ月前のことだ。
場所もこの店、『アマデウス』だった。

女社長の麗子とママの良子は、もう数年越しの知り合いだ。
3ヶ月前のある日、麗子がここでお茶をしていると、エステを経営している白
石さゆりが店を訪ねてきた。彼女はエステのチラシを置いて欲しいと言う申し
入れをママにしていたが、さゆりは隣のデーブルでコーヒーを飲む麗子に気が
ついた。
大手エステ会社「ブルームーン」の女社長の顔を、エステ経営者のさゆりが知
らないハズはなかった。
「あのう、あそこに座っていらっしゃる方、ブルームーンの氷見川さんじゃあ
りませんこと」
「えぇ、そうですけど……」
その場で麗子を紹介されたさゆりは、名刺を麗子に渡し面識を得た。
「白石さん、良ければコチラでお話でも……」
さゆりは麗子のテーブルに移り、同業のよしみか二人は急速に打ち解けた。
麗子が絡みつくような視線を送りながら、舌で唇を舐めた。
その時さゆりは気がついた。麗子が同じ性癖を持つ女だと……。
さゆりは黙ったまま麗子を見つめ返し、自分の気持ちを送信した。
わたしもあなたと同じだと、想いを込めて。
その想いは麗子の妖艶な微笑みによって、さゆりに返信された。

麗子とさゆりが出会って2ヶ月が過ぎた頃、二人は世間話を楽しんでいた。
そこに現れたのが朝倉由香だった。彼女はこの街に越してきてまだ1ヶ月で、
友達もなく寂しい日々を送っていた。
この店の常連になりつつあった由香が、そんな想いを良子に伝えると、良子は
その場に居合わせた麗子とさゆりを紹介した。
二人は由香を歓迎し、一緒のテーブルに着くと共に食事をした。
話を聞けば、由香は良子の近くのマンションに住み、独身で小さな会社の事務
をしているという。

「あらっ、それはお寂しいですわねぇ」
「彼氏もいないの?」
麗子は由香の横顔に問いかけた。
「えっ、えぇ。いないって言うか……、あたし……、男に、興味ないんです」
由香は二人から視線をそらし、俯きながら小声で言った。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土