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あなたの燃える手で

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桃色ティータイム


桃色ティータイム



プロローグ
梅雨明け宣言のされたこの日、『夢の森』の街は初夏の香りに包まれていた。
快晴の空から照りつける日差しが、熱くこの街を蒸し上げていく。
そんな週末の午後3時前。
3人の女性が『カフェ・アマデウス』に向かっていた。


一人は氷見川麗子。
この『夢の森』の街に一際大きな屋敷を構える、大手エステ会社の女社長だ。広大な敷地に建つその屋敷で、メイドのマリアと共に二人暮らしをしている。
暫く切っていない髪は、背中の中程に届きそうだ。
彼女は白いBMWで、幹線道路を『夢の森駅』に向かって走っていた。

もう一人はエステ『クレオパトラ』の経営者、白石さゆり。
小さいながらも確かな施術が評判を呼び、集客力を付けつつある人気店だ。
この店のメニューには知る人ぞ知る、裏メニューがあるらしい。
さゆりはデニムワンピースで、駅前の幹線道路の信号待ちをしていた。
その彼女の前を白いBMWが通り過ぎ、ウインカーを出すと駐車場に入っていった。

そしてもう一人の女性、朝倉由香。
四十路を迎えた麗子達よりも一回り若い彼女は、信号待ちをしているさゆりを見つけると後ろから声を掛けた。
「さゆりさん……」
その声にさゆりは少し驚いたように振り返った。
「あらっ、由香さん。お早いのね」
さゆりは由香のミニから覗く、綺麗な脚に視線を移した。
「なんだかドキドキしちゃって、気が付いたらここまで来ちゃいました。それにさゆりさんだって早いじゃないですか」
「あたしも同じよ、由香さん。……今日は楽しみにしていますわ」
「あっ、はいっ。よろしくお願いします」
由香がペコリと頭を下げると、肩先に触れる髪が振り子のように揺れた。

信号が青に変わり、2人は『夢の森商店街』を目指して歩き始めた。

「響子ちゃん、悪いけど3時からお店お願いね」
『カフェ・アマデウス』のママ加納良子は、店の厨房で女子大生のバイト、響子に囁くように声を潜めた。
「はい、わかってます。麗子さんお宅でティーパーティーなんですよね」
「ごめんね、いつもより早くお店閉めてもいいから」
良子はハーフのような顔を響子の頬に近づけ、優しくキスをした。
「でも初めてじゃないですか? ティーパーティーなんて……」
「そうね」
「この間の……、えぇ~っと、朝……?」
「朝倉さんでしょ」
「あっ、そうだ、朝倉由香さん。も、一緒なんですよね」
「そうよ。3時にここで待ち合わせだから、そろそろ来る頃だと思うけど」
「ふぅ~ん、ママと麗子さんと、朝倉さんかぁ~、何だか妖しい雰囲気」
「それに、白石さんもよ……」
「あっ、エステの……。これはますます妖しい……。マリア大丈夫かしら?」
「あらっ、マリアちゃん今日は何処かへお出掛けですってよ」
「えっ、そうなんだぁ~。でもある意味ラッキーかも……」

その時、店にさゆりと由香が並んで姿を見せた。
「いらっしゃいませ~!」
入り口近くの4人掛けのテーブルに座ったさゆりと由香に、響子が冷たい水をトレイに乗せ、二人の元へ歩み寄った。
「アイスコーヒーを二つ頂くわ。宜しいかしら? 由香さん」
「はい……」
「アイスコーヒーを二つですね」

注文を繰り返すと、響子は厨房へと消えていった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土