2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

白い魔女 8

7 
そのカフェは、『アマデウス』という名前で、『夢の森商店街』のほぼ入り
口にあった。
中では日本人離れした顔のママさんが、厨房で忙しそうに立ち働いていた。

「いらっしゃいませぇ」
洗い物を中断し、ママさんがあたしとおばさんのところにやってきた。
「えぇっと、チーズケーキとコーヒーを二つずつ……」
「はぁ~い。ありがとうございまぁ~す」
ママさんは注文を取ると、急いで厨房へ戻っていく。
一瞬だったけど、ママさんと目が合った時、なにか絡みつくような粘着質
な、まるで女が女を誘うような、そんな視線を感じた。
そしてそれは、おばさんがあたしを見る視線と同じだと気がついた。

「そうなのぉ。それじゃファーストキスもまだなのね?」
「はい、残念ながら……」
おばさん、あたしのファーストキスはあなたの娘。そんな女同士のキスがフ
ァーストキスだなんて、あたしはとても言えない。
「そう、そうなのぉ」
おばさんの視線は、どんどんあたしに絡みついてくる……。
「ねぇ雪ちゃん。たまには遊びに来てね……。節子も寮に入って全然帰って
こないし、寂しいのよねぇ~」
「そうですよねぇ」
「節子ね、雪ちゃんのコト、色々言ってたわぁ~」
「えっ……?」
胸が "ドキッ" と鳴った。せっちゃんのことだから、余計なコトは言ってな
いだろうけど……。
「色々って、どんなコト言ってましたぁ? せっちゃん」
「そうねぇ……。雪ちゃんのおっぱいはあたしより大きいとかぁ。チョット
触ったら凄く反応が良くて、敏感そうだとかぁ。そうそう、一緒にエロ本見
たとかって言ってだわぁ……。そうなの?」
「あぁ、あれは、偶然公園のゴミ箱に捨てあったのを見つけて……」 
「ふぅ~ん」
おばさんは "全部お見通しなのよ" と言わんばかりの上から目線だ。
そんなおばさんお目に、あたしはもう全部バレてるんだと思った。
「それって、 "秘肉妻" ってヤツでしょう。あの子の部屋で見つけたの」
「あっ、そう……、だった、かな……?」
そのタイミングで、ママさんがコーヒーとチーズケーキを運んできた。
「はぁ~い、コーヒーとチーズケーキですぅ」
「ありがとう」
おばさんがそう言って、ママさんに軽く会釈した。あたしもなんとなく頭を
下げた。
「えぇっと、なんでしたっけ?」
「 "秘肉妻" 。一緒に見たんでしょう? あの子の部屋でぇ」
「えぇっ、えぇ、まぁ。でもチョットだけ、チョットだけですよ」
「それで、なんかしたの? 節子と女同士で……」
「そ、そんなっ、まさか……。どうしてです?」
「あの子ね、どうやら女の子が好きみたいなのよねぇ」
「そう、なん、ですか……」
「親としてはチョット心配よねぇ。でもね、実はあたしも……、なの」
「えっ? おばさんも、ですか?」

おばさんの勝手なカミングアウト。そんなのあたしだって困る。
でも、チョット嬉しかった。


Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土