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あなたの燃える手で

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白い魔女 8

2 
誰も見ていない時、あたし達は挨拶がわりにキスをするようになった。

そんなことが習慣のようになったある日、あたし達はまたあの公園に立ち寄
った。あの日と同じブランコに座り、おしゃべりをしていると、せっちゃん
が公園のゴミ箱に何かを見つけた。
それは18禁の漫画、エロ本だった。そのエロ本はまだ捨てられたばかりのよ
うで、綺麗で汚れてもいなかった。
せっちゃんはそのエロ本を掴み上げると、急いで鞄にしまった。
「ウチで見よっ」
「うん」
そこからせっちゃんの家まで、あたし達は何故か早足で歩いた。

そのエロ本は、人妻熟女専門誌『秘肉妻』という週刊誌だった。
家に着くとあたし達はせっちゃんの部屋に入り、ベッドに上がると足を投げ
出して壁に寄り掛かった。
すると階下から足音が聞こえ、お母さんがドアをノックした。
せっちゃんは慌ててカバンから出し掛けた、『秘肉妻』を鞄に戻した。
「節子、"ただいま" くらい言いなさい……」
そう言いながらお母さんが部屋に入ってきた。
「あっ、おばさん、お邪魔してます」
「あらっ、雪絵ちゃん。いらっしゃい」
お母さんはあたしに気がつくと、言いたいことを全て飲み込んで、あたしに
微笑み掛けた。
「いまお菓子持ってくるわね……」
それだけ言うと、部屋から出ていった。

今日のお菓子はアップルパイとコーヒーだった。
「雪絵ちゃん。今日もゆっくりしてってね……」
「はい、いつもごちそうさまです」
お母さんが部屋から出ていくと、せっちゃんがドアに鍵を掛けた。
あたし達はアップルパイとコーヒーを手に、改めてベッドで足を投げ出し、
壁に寄り掛かった。

そのエロ本『秘肉妻』は、数人の作家から構成されている成人漫画だが、人
妻熟女専門というだけあって、若い子は一切出てこないようだった。
そして漫画の一つに、女同士が絡む漫画もあったのだが、あたし達の興味を
引いたのは、別の漫画の舌を絡めたキスシーンのページだった。
「ねぇ、雪ちゃん、このキス……」
「うん、凄いね。舌入れてる、っていうか絡めてる」
「うん」
一瞬、あたしとせっちゃんの視線が交錯した。その一瞬は、お互いの想いを
知るのに十分過ぎる時間となった。
「どうする? 雪ちゃん。シテみよっか……」
「いいよ、せっちゃんなら……」

元々フレンチキスはしていた仲だし、だからさほど抵抗はなかった。
せっちゃんはベッドに雑誌を置くと、あたしの方に体を向けてきた。だから
あたしもせっちゃんの方に体を向ける。向かい合った顔が近づいて、お互い
少しだけ伸びた舌がそっと触れ合うと、舌はそこから更に伸びて、すぐに漫
画のように絡み合った。

あたしの中でなにかが弾けた。それは多分せっちゃんも同じだったと思う。
ひと足先に大人の世界を知ったような優越感と、してはイケナイことをした
背徳感と、それでも止められない想いと。色々なものがない混ぜになった感
情だった。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土