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あなたの燃える手で

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白い魔女 8


白い魔女 8

PROLOGU 
『夢の森病院』の婦長『御堂雪絵』は、1日の業務を終え、ようやく自分の
マンションに帰り着いた。

「はぁ~、今日も疲れたわ……」
10月になってもまだまだ暑い昨今、病院から家まで帰ってくるだけで、一汗
掻いてしまうのはいつものことだ。
雪絵は熱いシャワーを浴びると、バスタブで暖まる気にはなれず、そのまま
バスルームを出てエアコンの前に立った。火照る体を心地よい強目の冷風が
鎮めていく。
「ふぅ、これこれ、この為に生きてるみたい。うっふふっ」
そのまま寝室に入り、ベッドに "ドサッ" と横たわった。
「いつからだろう、あたしがこうなったのは……。今にして思えば、中学3
年生の "あの日" からかもしれない」


1  
『近藤節子』せっちゃんは、あたしの親友で、同じクラスだった。
彼女はいわゆるお金持ちのイイトコの子で、お父さんはどっかの社長だって
言ってた。家も土地も普通の家よりも倍は大きく、車も外車だった。
あたしは学校帰り、よくせっちゃん池に遊びに行っていた。
それはせっちゃん家に遊びに行くと、お母さんがケーキ屋やお菓子をいっぱ
い出してくるからだ。
当時はスマホもパソコンもない時代だったけど、あたしたちにはなんの不自
由もなかった。男と女ならお母さんも多少警戒したかもしれない。でも女の
子が女の子の家に遊びに行くのに、親は完全に無警戒だった。

そもそもあたしとせっちゃんの話が合ったのは、男性アイドルを全然良いと
は思わないという話からだった。
「そうだよねぇ、なんであんなのが良いんだろうねぇ~」
「ホント、ホント、あんなのだったら○○ちゃんの方がよっぽど可愛いよ」
と、いつも女性アイドルに肩入れするのだ。
ある日、その女性アイドルが出演しているドラマでキスをした。それは他愛
のないフレンチキスだったけど、あたしとせっちゃんの話題に登るには十分
な内容だった。学校帰りにいつも立ち寄る公園のブランコに座り、あたし達
の話は1時間近く盛り上がった。
そしてそんな話の中で、せっちゃんがこう言ったのだ。
「ねぇ、あたしたちもしてみようか……?」
「えっ、キスぅ?」
「うん」
「どこで?」
「ウチで」
「せっちゃん家でかぁ~。うん。いいよ。してみよ」

あたしはそのまませっちゃん家にお邪魔した。
すると予想通り、今日はお母さんがロールケーキと紅茶を出してくれた。
「いらっしゃい、雪絵ちゃん。ゆっくりしてってね……」
「はい。ありがとうございます」
お母さんが部屋から出ていくと、鍵を掛けてからあたし達は向かい合った。
「じゃあ、するよ。雪ちゃん」
「うん。ねぇ、これってファーストキスになるの?」
「そうかもね。あたしはいいよ、ファーストキスの相手がゆきちゃんでも」
「あたしもせっちゃんなら、異議なし」
「じゃ、目、瞑って」

あたしが目を瞑った3秒後、あたしは自分の唇にせっちゃんの唇を感じた。
まるでマシュマロのように、とっても柔らだったのを憶えている。
あの時は、自分がレズビアンだという自覚はなかった。今でこそLGBTQだ
とか色々言うけど、当時はそういういう言い方もなかったし、だからあたし
もせっちゃんも、女同士ということに、あまりにも無頓着だったことは否め
ない。でも結局それは、あたしもせっちゃんもレズビアンだったからなのだ
ろう。
それからあたし達は、挨拶がわりにキスをするようになった。

もちろんそれは、誰も見ていない時だけ……。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土