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あなたの燃える手で

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真夏の夜の宴

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「皆さん……?」
あたしは首を傾げながら靴を脱ぎ、その屋敷に一歩踏み込んだのです。

「さっ、どうぞこちらへ……」
その女性は長い廊下を歩くと、あたしを大きな扉の前へと案内しました。
「ここですよ」
彼女は白いエプロンで両手を拭くと、その扉を押し開きました。
立ち止まったまま躊躇しているあたしの背中を彼女に押され、あたしは半ば
強制的に中へと押し込まれました。
立食パーティーでしょうか。中には十人ほど、後で数え直すと十三人の人が
四つの小さな丸いテーブルを囲んでいました。
そんな状況で何故かあたしがホッとしていたのは、その十三人がみんな女性
だったからかもしれません。

「あのぅ……、ここって」
「奥様、由乃様。志保様がただいま到着されました」
「ありがとう、絹代。あなたも今日は楽しみなさい。遠慮はいらいのよ」
「はい、ありがとうございます奥様。感謝いたします」
そう言って、絹代と呼ばれたあたしを案内してくれた女性は、深々と首を垂
れました。その様子から、彼女はどうやらこの屋敷のメイドというか、お手
伝いさんのようです。
他の女性達も、きっとあの奥様に何かしらの縁のある人達なのでしょう。 
そして何故、どうしてあたしの名前を知っているのでしょう。それが一番の
謎でした。
そんな疑問をよそに、あの由乃様と呼ばれた女性があたしのところにやって
きたのです。右手には、白ワインのグラスを長い華奢な指が摘んでいます。

「うふっ。志保さん、お待ちしておりましたのよ」
由乃さんは挨拶代わりと言わんばかりに、と首を横に傾げました。
「あのぅ、あたしぃ……」
「今夜はゆっくり楽しませてもらいますわ」
「えっ? だから……」
「ねぇ、皆さん。みなさんもそうお思いでしょう?」
「もちろんよ」
「よろしくね、志保さん」
何故かみんなの口からあたしの名前が呼ばれ、それは次第に大きな拍手へと
変わっていったのです。
そんな拍手の中、後ろからあたしの両肩に由乃さんが触れました。するとあ
たしは金縛りにあったように動けなくなってしまったのです。
「あっ、あれっ? 動けない……」

「動けない? いいのよ、それで」
「由乃さん、早く脱がしましょう」
「そうそう、まずは裸にしてから……」
「わかりましたわ。それではコレで、切り刻んで参りましょう」
そう言って由乃さんは、あたしとみんなに大きな裁ち鋏を見せたのです。
由乃さんは鋏を手にあたしに近づくと、あたしの動かないはずの両腕を、真
横に伸ばしました。すると何故か腕は動き、その状態でまた固まったように
動かなくなるのです。そんな調子であたしは立ったまま大の字に固定された
のです。両脚の幅は肩幅くらいです。

ふと気がつくと、みんなの手にも裁ち鋏が握られているのでした。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土