2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

嗤うペルソナ


満里奈は小さな部屋に通されると、そこに用意してあった胸元と背中が開い
た、黒いロング丈のイブニングドレスに着替えた。その素材は光沢がありなが
らも、わずかに透け感のあるものだ。他にも艶かしいストッキングや、歩きな
れないほどの高いヒール。ネックレスやプレスレット、アンクレットに指輪な
ど、どれも高級そうなアクセサリーを身につけたのだった。
着替えを終え部屋から出ると、そこに案内役の紫音が立っていた。

「着替えは済んだのか? 満里奈」
「えぇ、はい……」
突然の呼び捨てに、ちょっと戸惑いを禁じ得ない。
「それでは、パーティー会場へ案内する……」
紫音は満里奈の前を奥まで歩くと、そこにあるドアの前で立ち止まった。
「このドアの向こうがパーティー会場だ」
すると何処からか、もう一人の女が現れた。
「あなたが麻里奈ちゃん? 可愛いいぃ、ホントに可愛いわぁ。あたしは朱音
(あかね)。紫音お姉様と同じ案内役なの。よろしくね」

彼女は紫苑とは対照的な純日本風の美人で、髪はフワリとカールしたマッシュ
ルームカットで、その黒髪は驚くほどに艶やかだった。
身長や体型は似ているが、紫音の蝶ネクタイが紫なのに対し、朱音は朱色の蝶
ネクタイを締めている。
そしてそのメイクも、紫苑はナチュラルメイクだが、朱音はやや濃く、その唇
に至っては、ビビッドレッドなルージュが引かれていた。

「初めまして。黒江麻里奈です」
「さっ、いよいよパーティーが始まるぞ……」
何もわからぬままに、麻里奈の心拍数はさらに上昇した。
「あらっ、怖いの? 緊張してる? もう可愛いぃんだからぁ」
するとパーティー会場から、吉乃ママの声が聞こえてきた。マイクを使ってい
るのだろう。その声は、何処かにあるスピーカーから聞こえて来る。
「皆様、今宵も堕天楼へようこそ……。ようこそお越しくださいました」
そこでドア越しに、短い拍手が聞こえて来た。
「13日の金曜日の定例のパーティー。このパーティーには選ばれたお客様の
み、ご参加いただいております。選ばれたとは、容姿、センスはもちろん、振
る舞いや言葉使い、そして何よりも、Sであること……」
ここで何やら笑い声が聞こえた。
しかし麻里奈だけは、なんのことだか意味がわからない。
「あのう、Sであることって……、なんです?」
「大丈夫、すぐにわかる」
「そうよ。なにしろ主役なんだから。麻里奈ちゃんは……」
会場の声が静まると、またママの声が聞こえてきた。

「そして皆様、今宵は皆様に朗報がございます。それはなんと、皆様お待ちか
ねの、新人をお披露目できることとなりました」
ここでまた拍手が起こった。
「それではご紹介いたします。まさに獲れたての新人。麻里奈でございます」
その言葉とともに、紫音が目の前のドアを開けた。
するとママは、階段状に3段高くなったステージ上にいる。ステージの広さは
4m四方だろうか、決して広いものではない。
2人は麻里奈をマイクを持つ吉乃の前へと連れていった。その姿はまるで、麻
里奈が2人に強制連行されているようにも見える。
ママの横に連れてこられた麻里奈だが、強い照明が客席から当たり、こちらか
らは逆光になって客達の姿は見えなかった。
「今宵は贄(にえ)も新たに、最高に淫らな夜をお届けしてまいります」
「贄……?」
「そう、贄。あなたは生贄なのよ。麻里奈」
目を丸くする麻里奈を面白がるように、吉乃は言い放った。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土