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あなたの燃える手で

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嗤うベルソナ


嗤うペルソナ



プロローグ
眠らない街の一角に、ひっそりとそのBarはあった。
夜ともなれば、煌びやかなネオンに埋もれてしまいそうな小さな入り口。
しかしその厚い木のドアをよく見れば、そこには小さくこう書かれてているこ
とに気がつくだろう。
『堕天楼』と。
そしてその下にはさらに小さく、"Women Only" とあることも。
そう、『堕天楼』は男子禁制。女性だけの女性が楽しむための空間なのだ。


麻里奈はそのドアを開け中を覗き込んだ。するとそこには、入り口からは窺い
知れないほどの空間が広がっている。
しかし奇妙なことに、今は照明のほとんどが消え、そこには誰もいない。
時間を間違えた? と思った時、カウンターの向こうから、モデル体型の背の
高い女が歩いて来た。
途中からクシュクシュとバーマのかかった長い髪。白いシャツに紫の蝶ネクタ
イを締め、深いスリットの入った黒いタイトスカートからは、細いハイヒール
を履いた美しい脚が伸びている。外国人に血が混じっているのか、目鼻立ちの
はっきりした顔は、薄化粧だけで十分に美しかった。




「黒江麻里奈さん? ですね?」
女はドアを開けたまま戸惑っていた麻里奈に声をかけた。
「はい……」
「ようこそ堕天楼へ。わたくし案内役の紫音と申します。もう皆様お集まりで
すよ。どうぞ中へ」
「あっ、でもあたし……」
紫音はマリナが中に入るとドアの鍵を閉め、黙ったままエレベーターの前まで
小気味良く歩くと、地下へのボタンを押した。
「あなたが今夜の主役。楽しい夜が期待できそうだ」
「えっ、主役……って?」
程なくエレベーターに乗り込むと、紫音は地下3階のボタンを押した。
「あのぉ、紫音さん。あたしお客様じゃないんです。ママの吉乃さんにこの時
間に来るように言われて……」
「大丈夫。話はママから聞いています」
「は、はぁ……」

フワリとエレベーターが止まり扉が開いた。
するとそこにはガランとした空間が広がっていた。ここも照明の半分以上が消
えていて、部屋の広さもよくわからない。そしてここにも誰もいないのだ。
「あのう、他の人たちは」
「皆様別室でおくつろぎです」
「そうなんですか」
何やら自分だけ扱いの違いを感じる。しかしだからと言ってどうしろというの
だ。今は彼女の言う通りにするしかない。


ある事情で無職なり、職探をしていた麻里奈に、ウチで働かないかと声をかけ
てきたのが、堕天楼のママ吉野だった。
高級レストランの一角で、簡単な面接と説明を受けた麻里奈は、次の職が見つ
かるまでの繋ぎという感覚で、しばらくの間働いてみることにした。水商売と
いう抵抗はあったが、十分な時給と、相手は女性のみというのが麻里奈を決心
させた理由だった。
初めての街、初めての店、ましてやBarなど入ったこともない麻里奈だった
が、今夜初出勤という形でにここに来たのだった。


「それじゃこっちで着替えましょうか」
麻里奈より背の高い紫音の片手が背中を押した。
「えっ? 着替え?」
「そう。今宵はパーティー。言い忘れましたが、ウチのパーティーはフォーマ
ル。だからあなたも着替えないと。その服装では……」
確かに今の満里奈は普段着だ。しかしパーティーのことなど聞いていない。
「あのう、紫苑さん。パーティーって……」
「そうか、ママから聞いてないのだね。ここでは13日の金曜日にはいつもパ
ーティーを開いている」
「13日の金曜日に、パーティーですか……」
「そう。しかもあなたが今夜の主役」
「主役ってなんなんですか……?」
「それは後でのお楽しみ。ママと誓約書を交わした以上は……」
「えぇ、契約書は交わしましたけど……」
「さっ、そんなことより早く着替えて。皆様がお待ちかねですから」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土