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あなたの燃える手で

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白い魔女

68
真弓がチェックしていた献体の契約金は、ゆかりがこの病院に献体として来た時
に背負っていた借金の額の事だ。
真弓はその日の帰り際に、御堂の机にあった献体に関するファイルの納められて
いるピンク色のCDを持ち帰った。
PCにCDを入れ、ファイルを開く。そこには2つのファイルがあり、一つは
「献体契約金」、もう一つには「ゆかり」とタイトルが付けられていた。
最初に「献体契約金」のファイルを開く。
これは過去の献体達のアーカイブと、現在のゆかりの返済額の状況が保存されて
いる。内容も真弓が聞いている通りのものだった。
次に「ゆかり」と付けられたファイルを開いた。
ファイルに目を通していた真弓の瞳が、赤いフレームの中で冷たく光った。
ゆかりの契約金は500万。しかしここには、その500万に別途諸経費として100
万の上乗せがしてあり、実際の支出は600万になっている。
この契約金の管理は御堂に任せているが、この100万の支出は真弓は聞いてい
ない。これは言わば、御堂の裏帳簿とも言えるものだった。
何故こんな重要なファイルを鍵も掛けずに、無造作に机の引き出しなんかに。
しかし今思えば、今までこのCDを真弓が見ることはなかった。それ故に御堂も
安心しきって油断していたのではないか。
「雪絵。このままにはしておかないわよ」


千鶴の退院を間近に控えたある日の夕方、沙也加は千鶴の病室を訪れた。
「退院までもうすぐね。千鶴」
横になっている千鶴に優しく微笑みかけた。
「うん」
その言葉にコクリと頷く千鶴。
「退院してもリハビリ頑張ってね。千鶴なら大丈夫だと思うけど。だってもう
あんなに歩いちゃうんだもん」
「うん。まぁね」
沙也加がベッドサイドに腰掛けた。
「今夜はチョット寒いわね。風邪引かないでよ、ここまできて」
「うふっ、平気よ。病院で風邪引いても、すぐお薬もらえるでしょ」
「もう、そんな患者さんには痛い注射するわよ」
沙也加が千鶴に倒れかかるようにして顔を寄せた。一瞬の沈黙の後、二人は唇
を重ねた。千鶴が下から両腕を沙也加の背中に回し、きつく抱きしめた。
「あたしも、あたしも沙也加みたいに、人の役に立つ仕事がしたい」
「千鶴もナースになる?」
「なれるかな?」
「なれるよきっと」
「そしたら、沙也加に痛い注射しちゃうよ」
「じゃ、あたしはもっと痛い注射してあげる」
「うふっ」
二人は見つめ合い、微笑み合って唇を重ねた。
茜色の空は深い藍色に変わり、忍び込んだ夜風が静かにカーテンを揺らした。

Comments 2

マロ  

まずは10万ヒット、おめでとうございます!
考えてみたら、物凄い数字ですね。

予想外の展開に・・・。
んー・・どうなるんでしょう?
今までとは違う意味で楽しみです。

沙也加と千鶴サイドは癒されますね。
この2人もどうなるのか気になります。

2007/07/29 (Sun) 10:15 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
ありがとうございます

10万ヒットは、本当に皆さんのおかげです。
これからもよろしくお願いします。

>予想外の展開に・・・。
うれしいですね。ソコを狙っていましたから (*^_^*)

真弓と御堂の仲にヒビが……。
その時ゆかりは。

良い意味で予想を裏切ってみたいと
思います。

2007/07/29 (Sun) 11:33 | EDIT | REPLY |   

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土