30 最終話あの傘。玄関に立てかけられた青空のような水色の傘。大通り沿いの2階にあるカフェ 『フリージア』からみた傘。千夜がマリィさんと腕を組み、肩を寄せ合って入っていた傘だ。まひるの脳裏に、あの時のことがフラッシュバックのように蘇る。しかし、自分にはそれを咎める資格はない。まひるはそう自覚すると、もう一つグラスを出し、氷を3つ入れた。一方千夜は、ベッドに腰掛けたままタバコに火を点けた。薄暗い部屋に...