33 最終話夕方に樹が帰ると、入れ替わるように理事長の絹枝がやってきた。もう陽はとっぷりと暮れ、あたりには夜の帳が降りている。「よろしかったかしら? こんな時間に……」玄関で靴を脱ぐと、絹枝は部屋に足を踏み入れた。「もちろんですわ。理事長をお招きできて光栄です」「まぁ、大げさねぇ。さすがコメンテーターってところかしら?」「もう、理事長冷やかさないでください。」「さっきまで樹さんがいたんでしょう?」「は...