30『アルセーヌの瞳』を盗み出した夜。小夜と円香は窓からの夜景を見下ろしていた。2人の手にはシャンパンの入ったグラスが握られている。「今日もまたうまくいったわね、お姉様」「そうね。でもそれも、もうすぐ昨日の話になるわ」時計の針は、あと数秒で日付を跨ごうとしている。「あいつら、今回は本当に分からないんじゃないかしら」「またあいつらなんて、その言い方やめなさいって言ったでしょう。円香」「はぁ~い。でもど...