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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト

30
『アルセーヌの瞳』を盗み出した夜。小夜と円香は窓からの夜景を見下ろして
いた。2人の手にはシャンパンの入ったグラスが握られている。
「今日もまたうまくいったわね、お姉様」
「そうね。でもそれも、もうすぐ昨日の話になるわ」
時計の針は、あと数秒で日付を跨ごうとしている。
「あいつら、今回は本当に分からないんじゃないかしら」
「またあいつらなんて、その言い方やめなさいって言ったでしょう。円香」
「はぁ~い。でもどうやってあのガラスケースを開けたのか? とか。ルビー
とムーンライトはどこに行ったのか? とか。悩んでるだろうなぁ」
「そうね。今回はチームプレイがうまくいったわ」
「そりゃそうよ。だってあたしとお姉様だもん。息はピッタリよ。どんなとき
でもね」
「そうね。円香とだもんね」
「そうよ。でも今回はお姉様が重要な役回りを上手くこなしたからよ。うまく
いった要因はそれが大きいと思うわ」
「円香、あれは次の『クラリスの首飾り』を盗むまでは続けるわ。全てがわっ
たら教えてあげましょう」
「うん、わかった。ねぇ、『クラリスの首飾り』を盗んだらどうするの?」
「そうねぇ、まだ考えてないけど。取り敢えず日本を離れましょうか?」
「どこ行く?」
「だからまだ決めてないわ。円香はどっか行きたいところがあるの?」
「そうだなぁ、久しぶりにチェコに帰りたいなぁ」
「チェコかぁ……。もうずいぶん帰ってないわね……」
「うん」
「そうね、そうしましょうか」
「えっ?」
「チェコに帰りましょう」
「ホント? ホントにチェコに帰る?」
「本当よ。そしてあの街で少しゆっくりしましょう、円香」
「わぁ、嬉しい。チェコに帰れるなんて」
「もう円香ったら、子供みたい……」
「ねぇ、次の作戦、もう考えてあるんでしょう」
「勿論よ」
「わぁ、聞かせてお姉様」
「そうね。でもそれは、お楽しみの後よ」
「もう、お姉様ったらぁ……。変なところがイジワルなんだからぁ」
「あらっ、そんなことないわよ」
「ううん、そうよ」
「そんなことないってば」
「そうよぉ」
2人はじゃれ合うように1つになっていった。


同じ日の夜。七海と奈緒子は夜の館長室で向かい合っていた。
「とうとうあのルビーまで……」
「えぇ、館長。本当に悔しいと言うか、情けないというか」
「でも盗んで行ったのが、怪盗ムーンライトだっていうのが救いかも、何しろ
世界を股に掛ける大怪盗ですもの」
「えぇ、そうですね。その辺のコソ泥とは違いますよね」
そして2人は抱き合い、唇を重ねた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土