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あなたの燃える手で

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アリスの魔法

22
柔らかな腕が、あたしの背中に巻き付くように回った。
それはフラついたあたしを受け止めてくれた先輩の腕だ。あたし達はお互いに
抱き合うような体勢になった。
あの涼子先輩の顔が、今あたしの目の前にある。
恥ずかしいけど嬉しくて……。何ていうかその……、複雑な感情は上手く説明
できないけど……。とにかくあたしのドキドキは最高潮に達し、耳まで真っ赤
になっているのが自分でも判った。
「うふっ、アリス……」
涼子先輩はそう言うと、目の前にあった顔を更に急接近させ、その可憐な唇を
あたしの唇に重ねた。

それは軽い、本当に軽く唇を重ねただけのキスだった。
場所もアパートの裏の小さな駐車場だけど、そんなコトはどうでもイイ。
あたしには、きっと一生忘れられないキスになるだろう。
きっと何十年経っても、今日という日のこのキスを、きっと思い出す日が来る
に違いない。
それはそうと、あたしの耳はきっとさっきよりも赤くなっているハズだ。

「もう、大丈夫?」
「あっ、は、はい。大丈夫です……。どうもすみません」
「なんだか、松葉杖があった方がイイみたいね?」
「そんなっ、大丈夫ですよ」
「そう? とにかくあたしに掴まって」
「えっ、そんな……」
「いいから……」
涼子先輩はあたしの腕を自分の首に回すと、その手首を掴んだ。
そしてあたしは先輩にもたれ掛かりながら、トボトボと遅い歩みを始めた。
「部屋はそこの2階よ」
そう言って先輩は、目の前のアパートの2階の隅の部屋を指差した。

あたしは先輩と一緒に階段を上って、なんとか部屋の前まで辿り着いた。
先輩が鍵を開けると、あたしは肩を抱かれたまま中に入った。
「えぇっと、取り敢えずベッドにでも腰掛けて」
「あっ、はい……」
部屋は6畳2間。全体的に女の子らしい色遣いに、可愛い小物もいっぱいあ
る。だけどそれらが何とも上手く収まるところに収まって、意外と綺麗に片付
けられていた。

先輩は上着を脱ぐと、あたしの隣に腰掛けた。
2人分の体重を受けて、ベッドの端が大きくたわんでいる。
「ねぇ、アリス」
「はい……」
「明日の日曜日、時間ある?」
「はい」
「実は、チョット手伝って欲しいコトがあるの」
「はい。でも足がこんなですから、お役に立てるかどうか……」
あたしは改めて包帯の巻かれた足首に視線を落とした。
「別に力仕事じゃないのよ。まぁ、考えようによっては力仕事だけどね」
「考えようによっては?」
「そう、あなたの力を貸して欲しいの。もちろんあの力のコトよ」
あたしは息を飲んだ。どうして、どうして涼子先輩があの力のコトを……。
それにあたしがそれを使えるコトをどうして……。
目を丸くしたあたしを、先輩が優しく見つめていた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土