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あなたの燃える手で

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アリスの魔法


その先輩はあたしの2つ上で、名前は『白鳥涼子』。
名前からしてもう素敵なんだけど、素敵なのは名前だけじゃないよ。顔もスタ
イルも抜群に綺麗。
テニスもとっても上手くて、いつも県大会ではベスト4まではいく。
それに言っとくけど、涼子先輩に憧れていたのはあたしだけじゃないからね。
先輩はみんなの憧れ。学園のアイドル的存在だったんだから。
そんな涼子先輩が、駅前の幹線道路を渡っていくのを見つけたあたし……。
片手には、見覚えのあるテニスバッグを持っている。きっと中には学生時代か
ら使っている、あの赤いテニスラケットが入っているに違いない。
これはもう後をつけるしかないでしょう。
何だかストーカーみたいで後ろめたいけど、実際恐れ多くて簡単に声なんか掛
けられない人だから、結局こうなっちゃう。
そんでもって涼子先輩が横断歩道を渡り終える頃、あたしは先輩に向かって手
を振る1人の女の人を見つけた。

その人は涼子先輩よりもあきらかに年上で、あたしには30代の前半か半ばく
らいに見えた。きっともう結婚していて子供もいると思う。
俗に言う人妻って言う奴だ。
今日は子供を旦那さんに預けて、涼子先輩とテニスの約束をしていたんだと思
う。何故かって? それは彼女もテニスバッグを持っていたから。それも涼子
先輩と同じバッグを。
あたし達後輩は、先輩と同じバッグを持ちたくても持てなかった。
それはなにもバッグに限ったことでない。ラケットやシューズ、ウェアやタオ
ルにいたるまで、涼子先輩と同じモノを持つことを避けていた。
それがあたし達なりの崇拝の仕方だったのだ。
それなのに……、なによあの女……。
あたし中に何やら青白い炎が燃えがった。これが嫉妬と言うモノだろうか。
それとも憎しみ?
どちらにしても、あたしはあの女が気に入らない。
2人を尾行するあたしの中には、もう無数の触手が出番を待っていた。

夢の森総合公園のテニスコートにいくと思っていた2人は、「アマデウス」っ
ていうカフェに入ってしまった。

ココでチョットこの街をコトを説明しておくと、この街は「夢の森」といっ
て、駅前にはバスターミナルがあるのね。駅からそのターミナルを迂回して歩
くと大きな幹線道路に繋がっていて、ソコには横断歩道があるの。
それが今渡った横断歩道のコト。
その横断歩道を渡ると商店街があって、それを抜けると住宅地になってる。
その住宅地の向こうに「夢の森総合公園」っていうのがあって、ソコにはラン
ニングコースや野球場、それにテニスコートなんかがあるの。
だからあたしはてっきり、2人は総合公園に行くものだとばかり思っていた。
なのに2人は横断歩道を渡ると、商店街の入口にある「アマデウス」っていう
カフェに入ってしまった。っていうわけ。

あぁ、どうしよう。せっかく後をつけようと思ったのに、カフェに入っちゃう
なんて。あたしが入ったらバレるかな? それとももうあたしのことなんか忘
れちゃってるかな……。
2人が窓側の席に座ったのがガラス越しに見える。
いいや、入っちゃえ。
あたしは意を決して、カフェに入った。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土