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あなたの燃える手で

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眠れない羊たち

第27話:秘密 2
「ほぉ~らっ、入れますよ……。あぁ~、あぁぁ~気持ちイイィ」
天蜂尼は、既に薬を使っているかのような表情を浮かべると、グイッと腰を押
し出した。
「いやぁっ、いやぁぁ~」
真紀の声が奥の院に響き渡った。
その時。
何かの強烈な破裂音と共に、奥の院の扉が開いた。
ハッとして振り返る3人の前に、拳銃を構えた沙織が立っていた。
その足元には、銃弾ではじけ飛んだ鍵が転がっている。
「さっ、沙織……。どうして……」
最初にそう言ったのは百合子だった。
「動かないで。天蜂尼、連城寺時江、そして南 百合子。夏宮真紀監禁、及び
違法麻薬取締法違反で逮捕する」
「逮捕って、あなた何言ってるの?」
百合子はまだ状況が飲み込めないらしい。
「沙織ちゃん。あなた一体……」
「あたしは国際特殊潜入捜査機構、通称カメレオンのメンバ-。海百合荘で働
きながら蜜百合から採れる麻薬の動向を探っていたの」
「あぁ、なんてコトでしょう」
天蜂尼はガックリと頭を垂れた。
「蜂天尼、服を着なさい」
沙織は銃を3人に向けながら部屋の隅へと追いやった。そして真紀を解放し服
を着せた。
「それじゃ沙織、あなた最初から……。ウチに来てもうすぐ1年になるのに」
悲しそうな目でそう聞いたのは百合子だった。
「そうよ。女将さん、あなたが本当はいい人だってコトは判ってる。でもね、
やっぱりイケナイ事はイケナイの。こんなコトになってあたしも残念よ」
キリッとした沙織の顔は崩れない。
「年に1度の生け贄の儀式。最初の人はココを抜け出して……、たぶん崖から
飛び降りたんでしょうけど、助けられなかった。でもこの子は間に合ったわ」
「沙織さん……」
「最初はあなたも仲間かと思ったの。でも女将さんの接し方と、そんなに大勢
で組織的には作っていないことは、市場に出回る薬の量で判っていたから」
「それであたしは仲間ではないと……」
「そう。生け贄は干支を2回迎える前の処女であるコト。つまり24歳まの女
性。あたしがあと1つ若ければ、あたしが生け贄となって話はもっと早かった
かも知れない。でも生け贄に年齢制限があることを知らなかったから……。そ
れであたしはあの旅館で働くときに実年齢を言った」
「もし、あなたを生け贄にしていたら」
「その日のうちにこうなっていたわ」
銃口が改めて3人に向けられた。
「それで海百合荘で働きながら、新たな生け贄が現れるのを待っていたわけ」
「そうだったの」
「ごめんね、女将さん。でもね "天網恢々疎にして漏らさず" どのみちこの日
はやってきたのよ」

奥の院に、突然複数のヘリコプターのエンジン音が聞こえ始めた。それはこの
社に向かってどんどん近づいてくる。しかも相当低空を飛んでいるのか、奥の
院全体がブルブルと震えるような振動に包まれ始めた。
「こ、これは一体、何事です……」
驚く天蜂尼の横で、時江と百合子も為す術もなく天井を見上げている。
「思ったより早かったわね。発信器のスイッチを入れて、仲間にココの位置を
教えていたの」
表でヘリの着陸する様子があり、程なく数十人のカメレオンの隊員が、奥の院
になだれ込んできた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土