2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

眠れない羊たち

第11話:蜂天寺奥の院 1
庄屋の裏庭の蔵で、時江と百合子が痴態を繰り広げていた頃、真紀は暇つぶし
に、ブラリと港へと足を向けていた。そこにはまだ連絡船が揺れている。
吹き荒れた東風も静まり、海は静寂を取り戻しつつあった。
「はぁぁ~、どうしよう。めかくし様も見れないって言うし……。蜂天寺って
お寺には明日行ってみるとして、今日は取り敢えず街を散策しますか」
真紀は手にしたカメラで、気ままにスナップを撮り溜めていった。


百合子との淫靡な宴を終えた時江は、彼女を縄から解放した。
「そう、そんな子がいるの。一人旅なら、ちょうどいいわねぇ」
時江は暫し思案顔だったが、百合子の顔を見るとニヤリと嗤った。
「今から蜂天寺へいってくるわ。天蜂尼様の耳にこのコトを入れておいたほう
がよさそうだから……」
「百合子、あなたもいらっしゃい。久しぶりに3人で……、ねっ」
「そうね。あたしは喜んで」
「うふふっ、贅沢な1日ねぇ」
2人は庄屋の屋敷を出ると、この島の裏にあたる、最南端に建つ天蜂寺へと向
かった。

和服姿の熟女が2人、並んで天蜂寺の山門をくぐった。
風に乗って仄かに漂う、伽羅の香りが2人の体を包み込む。
山門と言ってもさほど大きなものでもなく、本堂もまたこぢんまりとしている
のは、やはり離島の不便のなせるところだろうか。
波音の聞こえる本堂の奥から、一人の尼が姿を現した。片手には筆箱ほどの箱
を持っている。
「天蜂尼様……」
「まぁまぁ、これはこれは。よくいらっしゃいました」
天蜂尼は、尼独特のかぶり物である帽子(もうす)をつけた頭を、深々とそし
てゆっくりと下げた。丁寧な挨拶と落ち着いた物腰。少々ゆっくりすぎるので
はと思うほどのその動きは、この聖域の時の流れの為せるワザか。

「さぁ、お上がりなさい。あなたがたがここへ来たと言うことは……」
「さすがは天蜂尼様。察しがいいですね」
「話は後でゆっくりと聞きます。その前に3人で……」
「というよりも、あたしと天蜂尼様で百合子を。ねぇ百合子」
「は、はい」
天蜂尼は黙って微笑むと、2人を先導するように、本堂の脇の廊下を奥へ奥へ
と歩いて行った。袈裟のたてる衣擦れの音が、百合子達の耳に心地いい。
やがて天蜂尼は本堂とは離れの関係になる、奥の院への橋を渡っていった。

天蜂寺奥の院。それは島の最南端に建つ、白壁に黒い瓦屋根の25坪程の建造
物だ。数10メートルの崖の上に位置するそれは、眼下に波音が聞こえ、遠く
水平線まで見渡すことが出来る。
天蜂尼が2人を招き入れ、中から鍵を掛けると、外の波音も聞こえななった。
奥の院の中、それは中央に置かれた大きな台以外には、驚くほど何もないガラ
ンとした空間だ。台は黒い漆塗りで、その大きさは4人掛けのテーブルとほぼ
同じだ。ただ突き当たりの壁には、めかくし様が安置されているらしい、高さ
1.5メートル程の細長い木箱がある。

鍵を掛けた天蜂尼は2人に振り返ると、妖艶に微笑んだ。
「さぁ、百合子さん。判っていますね……」
その声は先ほどよりも1段低くなり、目もどこか冷たげだ。
「はい、天蜂尼様」
百合子が着物を脱ぎ、自らテーブルに仰向けになると、黒光りする漆に百合子
の白い肌がクッキリと映り込んだ。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土