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あなたの燃える手で

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Christmas in Blue Moon

☆3
廊下を早足で歩く音がし、食堂のドアを開けマリアが顔を見せた。
「今戻りました、麗子様。あっ、みんなメリークリスマス」
その姿は白いダウンの首元に水色のマフラーをグルグルに巻き、頭には白いニット帽をかぶっている。
「きゃー、マリアってばモコモコ」
「だって雪降ってんだよ。スゴイ寒いんだから」
マリアは頭の回りで何度も手を回しながらマフラーを取っている。
「今チキンが焼けたトコロよ」
「あっ、すみません麗子様。間に合うかと思ったんですけど、ダメだったか」
「それでシャンパンは買えたの……?」
「はい、綺麗なピンクのシャンパンです」
マリアは袋から出したシャンパンをテーブルに置いた。
「このジョ、ジョル、ジョルジュ……?」
「ジョルジュ・ピエール」
麗子が横から助け船を出す。
「そう、ジョルジュ・ピエールです。この『Georges Pierre』っていう文字とラベルが可愛らしくて、コレにしました。ほらっ、可愛いでしょ」
ラベルをみんなの方に向け、マリアはボトルを差し出した。
「あらっ、やっぱり……、同じの買っちゃったわねマリアちゃん」
ママが笑いをこらえながらマリアを見つめた。
「えっ?」
「マリア……、あたしと同じの選んだんだ」
響子が先に置かれていた2本のシャンパンを指差した。
「あれ、あれれ。これは……? ママさんが買ってきて下さったんですか?」
「そうよ、このメンバーはみんなのイケル口だから。2本ね」
「そうだったんですか、ママさんありがとうございます。それじゃコレは冷やしておきますね」
「ママでいいわよ、マリアちゃん」
マリアは自分で買ってきたシャンパンを冷蔵庫に入れた。

「さぁ、それじゃ始めましょうか」
4人はそれぞれテーブルに付いた。麗子の隣にマリア、マリアの向かいには響子、その隣に良子が座っている。
テーブルには切り分けられたローストチキンにサラダ、それにフランスパンとコンソメスープが並び、そしてシャンパンがグラスの中でイルミネーションのような泡を立ち上らせている。
そして麗子が最初にグラスを持ち上げた。それに続くようにママと響子がグラスを持ち上げる。
「ほらっ、マリア。乾杯するわよ」
「えっ、あ、はい」
マリアは一呼吸遅れてグラスを掲げた。
「いい? それじゃクリスマスに乾杯、メリークリスマ~ス」
「メリークリスマ~ス」
麗子の声に3つの声が重なり、4つグラスがテーブルの中央で響き合った。
「いただきまぁ~す」
「それはアナタが一番早いのねマリア」
「だってぇ~シャンパン買いに行って、もうお腹ペコペコなんです」
「2人とも今夜は泊まっていくんでしょ?」
「麗子達のお邪魔じゃなければ……ねっ、響子ちゃん」
「はい」
「本当に泊まっていって下さいね、お部屋用意してありますから」

それから時は流れ、麗子とママは夏に開いたティーパーティーの話で盛り上がった。その日「アマデウス」の留守を任されたマリアと響子は、2人でシタコトを思いだしコッソリと舌を出して微笑み合った。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土