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あなたの燃える手で

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白い魔女

 10
ゆかりは御堂に案内されるまま、4階建ての病棟への渡り廊下を渡った。その正面には一般のエレベーターより幾分広い間口のエレベーターがあり、2人はそれに乗り込んだ。こうして並ぶと御堂はゆかりより5センチ以上背が高く、肉付きも一回り大きかった。先に乗った御堂は、4階のボタンを押すとゆかりを振り返り、その体を舐めるように下から視姦した。もとより体の線の出る服装ではなかったが、その目はキャメルのコートを素通しにし、その体を値踏みしているようだった。ゆかりと目が合うと御堂の唇がザクロのように割れた。
エレベーターから降りると、長い廊下が右側に延びている。まるで白く光る蛇のように、蛍光灯が天井に張り付いている。
「院長室は一番奥ですから」
「はい」
そう言いながら御堂は廊下を奥へと歩いてゆく。途中、廊下を仕切るように2メートルほどの間隔で並ぶ2枚の自動ドアを抜けた。この2枚のドアが防音壁の役目をし、ここから先は別世界のように静まりかえっていた。ドアの先には部屋は2つしかない。奥の院長室と、その手前にある何も書かれていない部屋。
「この部屋でお待ち下さい」
御堂はドアを開け、明かりを点けるとゆかりを招き入れた。部屋の中央には6人掛けのテーブルがある。
「そこに掛けてお待ち下さい。今院長を呼んで参りますから」
「あっ、はいっ」
ゆかりは幾分緊張した面持ちで返事をした。
御堂が出てゆくとバッグを床に置き、コートを脱いでテーブルの端の椅子に腰掛けた。日当たりの良い窓からレースのカーテン越しに大銀杏が見える。
室内には2つのドアがあり、隣の院長室に通じるドアと、その反対側のにあるドア。それは閉められていて、その向こうに何があるかは判らなかった。この部屋にある物と言えば、後は大きなゴムの木が1本ずつ窓の両側にあるくらいだった。

院長室の机に置かれた灰皿から一筋の煙が立ちのぼっている。真弓はその指先にタバコを挟むと、『渡辺ゆかり資料』と書かれた書類に目を戻した。
「一流商社のOLが幸せな結婚。しかし夫が急死。そこで始めて夫に借金があることが判った。子供がいないことが幸いだったわね。さて、渡辺ゆかり。あなたをどやって虐めようかしら。まずは……」
廊下を歩く人の気配が真弓の思考を止めた。そしてドアを2回ノックする音。
「どうぞ」
ドアが開くと御堂雪絵がその姿を現した。
「院長、献体が到着しました。隣の部屋に通してあります」
「そう、ありがとう。今行くわ」

ゴムの木を照らす日射しが急に陰り、院長室側のドアにノックの音がした。
ドアが開くとそこに、縁なしメガネの似合うインテリ風の白衣の美女が現れた。
「院長の如月真弓です」
軽く会釈すると、長い黒髪がサラサラと流れた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土