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あなたの燃える手で

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白い魔女 2

27
院長室のドアが2度ノックされた。
「どうぞ……」
真弓はモニターのスイッチを切った。
ゆっくりと開いたドアの向こうに、秋山美咲が立っている。
「秋山さんね、どうぞ入って……」
「失礼します……」
ペコリとお辞儀をして、彼女は院長室に入った。
そこで真弓はこれから冬香の診察を手伝って欲しいことを伝えた。
当然断るはずもなく、彼女はそれを了承した。
「ありがとう、ごめんなさいね、突然で」
「いえっ、そんなこと……」
真弓はナースステーションに午後から彼女が抜けることを伝えると、椅子から立ち上がった。
「それじゃ行きましょうか」
2人は院長室を出ると冬香の病室へ向かった。
廊下には明るい秋の日差しが差し込んでいる。中庭の銀杏はもうすっかり黄色い衣を纏っていた。

真弓は病室のドアをノックすると中に入った。
仕切りカーテンの向こうに、ベッドに横たわる冬香が見える。
「あっ、院長……、たった今チェックが終わりました」
御堂はそう言いながら、真弓にカルテを手渡した。
「そう、ご苦労様」
見下ろす冬香の呼吸はまだ少し乱れているようだ。
「どう? 冬香。学用患者の気分は……」
「えっ、えぇ……」
「学用患者の間はあたし達の言うことは断れないわよ。わかってる?」
「えぇ、わかってるわ……」
「そう、それじゃ場所を移して次のチェックよ」
「えっ? 次のチェック? まだあるの?」
「そうよ。このカルテを元にね。まだまだ調べたいことが一杯あるの」
真弓は冬香に気付かれないように御堂を見た。
御堂自身ここから先のコトは予定外だったが、これはこれで嬉しい誤算だ。
美咲を連れてきて場所を変える。御堂は真弓の意図を一瞬で理解した。
御堂は真弓の視線に微笑みで答えた。
「さぁ、それじゃ白井さん。新しいお薬って色々あるんですよ……」
「大丈夫ですよ、冬香先生。あたしもいますから。さっ、起きましょう」
美咲は冬香の背中に手を回し、彼女の上体を起こした。
「えっ、あっ、美咲ちゃん……」
冬香はベッドから降りると3人に囲まれるようにして病室を出た。

エレベーターは4人を乗せるとその扉を静かに閉めた。
扉の右側には4階から地下1階までのボタンが縦に並んでいる。
真弓はポケットから小さな鍵を出し、その鍵で階数ボタンの下にあるフタを開けるた。すると中には丸いボタンがあり、そこにはB2と書いてある。
それを始めた見た美咲は目を丸くした。
「それは……」
「地下2階へ行くボタンよ。このボタンを押さなければ誰も地下2階へは行けないわ。エレベーターは普通に使えるけどね」
「地下2階……、地下2階があったなんて知りませんでした」
「知っていたのはあたしと婦長だけだったけど、これでこの4人ね」
真弓はボタンを押すとフタを閉め鍵を掛けた。

地下2階でエレベーターを降りると、真弓は壁のスイッチを触った。
蛍光灯が明滅し、暗い廊下を照らしだした。何となくこもった空気感が、20メートル程の廊下に詰まっている。その廊下にドアは一つしかない。
4人はそのドアの前に立った。
「ここよ」

真弓はゆっくりとドアを開いた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土