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あなたの燃える手で

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小料理屋の二階


布団に入って目を閉じて、まだ十分も経っていないと思っていたのに……。
今あたしの横には、女将さんが添い寝をしている。

布団の中に潜り込んだ女将さんは、長襦袢姿のようだ。そんな女将さんから
は、さっきまでしなかった香水のいい匂いがフワッと薫ってくる。
「女将さん……、どうしたんですか……?」
「久留美ちゃんの寝顔が可愛いから、一緒に寝たくなっちゃたの」
「えっ、でもっ、あっ……、服が……」
寝た時には確かに着ていたシャツやズボンが脱がされ、今のあたしは羽布団
の中で、ブラとパンティだけになっているのだ。
ということは、やはりあたしは一眠りしたということなのだろう。
「服は……? なんで……」
「大丈夫、ちゃんと畳んであるから。心配しないで。だって久留美ちゃん、
起こしても起きないだもん。部屋も温まってきたし、それに服着たままじゃ
寝づらいでしょう」
「でもどうして女将さんまで……?」
「久留美ちゃんが綺麗な体してるからよ」
「えっ……?」
「白くてスベスベで張りがあって……、いい体してるわ」
「そんな……」
「胸も大きくて、クビレもちゃんとあって、お尻だって可愛いし。女性らし
いラインをちゃんと纏ってる……。あたしね、初めて久留美ちゃんを見た時
にとっても美味しそうって思ったの。いつかこの子を食べてみたいってね」
「食べる? って、女将さんもしかして……」
「そうよ。あたしは女の人が好き。レズビアンなの。だから久留美ちゃんみ
たいに若くて可愛いい子を見るとね、年甲斐もなくドキドキしちゃうの」
「でも女将さん、あたしレズじゃない」
「そうね、それもわかってた。だからもちろん無理強いはしない。でもあん
まり久留美ちゃんが可愛いから、つい……」
服を脱がせたのは本当にさっきの理由からなのだろう。でも女将さんの突然
のカミングアウトに、あたしは戸惑っていた。
戸惑う? 戸惑うって……、なにを?
その時のあたしはまだ、その意味がわかっていなかった。

「ごめんなさいね、すっかり驚かしちゃたわね」
「えっ、えぇ、ホントにビックリしました」
そして言いようのない沈黙が暫し流れた。そんな沈黙を破ったのは女将さ
んだった。
「ねぇ、久留美ちゃん」
女将さんがそう言った時、あたしもう熱視線に貫かれていた。
「はい?」
「キスだけ、してもいい?」
「えっ?」
「キスだけ……。ねっ……」
ゆっくりと迫ってくる女将さんの唇。それにつれ僅かに強まる香水の香り。
あたしは「はい」と返事をしていた。
「いいのね?」
今度は黙って、コクリと頷いた。
「ありがとう、久留美ちゃん」
そして女将さんの唇が重なると、あたしは優しい香りに包まれた。

女の人との、初めてのキスだった。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土