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あなたの燃える手で

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春を画く

14
あたしは双葉さんの両腕に、革の手枷を嵌めました。
「えっ? なっ、なんですかコレ……。鏡空さん」
「見ての通りよ。早速モデルをやって貰うわ」

「早速って……」
「ごめんなさいね。これも全部先生の指示なのよ。とにかくリアルを追求す
る人でね。演技を嫌う人なの。だからただポーズを取っていてもダメ。本当
に感じて本当に苦しむ。そんな姿を描きたい人なの」
「でも、こんなのって……」
「あらっ、でもモデル応募のメールには、 "どうぞ縛り上げて淫らなポーズ
を取らせてください" って書いてあったわよねぇ。 "あたしはMです" とも書
いてあったわ」
「確かに書きましたけど。だからってこんないきなり……」
「そうそう、それっ。その余裕のないところがイイのよ」

その時、突然リビングのドアが開きました。
そこにはまごうコトなき、『十五代 千手無空』が立っていました。
「先生、お昼寝でも……? モデルの宮本二葉さん。来て頂きましたよ」
「ごめんねぇ、朝から具合がチョットね……。あぁ宮本さん。無空です。よ
ろしくお願いしますね」
「は、はぁ……。こちらこそ……」
両腕を前に垂らしたまま、双葉さんは戸惑うように挨拶をしました。
「下準備はできたようだね」
「はい」
そしてあたしと先生は、ある意味SMルームのようなアトリエに、双葉さん
を連れて行ったのです。
両手を後ろに回し、手枷をされた双葉さんが歩く姿は、まるで囚人か罪人の
ようでした。

アトリエに入ると、先生は部屋の奥にあるイーゼルの前に座りました。
「先生、具合って、熱でも?」
「そうなんだよ。ちょっと高いみたいだ」
そう言いながら、新しいキャンバスをイーゼルにの乗せました。
「大丈夫ですか? くすりは……?」
「薬はさっき飲んだんだけどね……。まだ効いてはこないね。このままだと、今日はちょっとしんどいかもしれないねぇ」
「どうしますか? 何なら責め役はあたしがやりましょうか……」
「そうだねぇ、そうしてくれると助かるんだけど……、やってみるかい?」
「はい。是非」
「おやっ、ずいぶん乗り気だねぇ。Mのお前が」
「あたし、双葉さんを見ていたら、なんだか責めてみたくてなって……」
「もう一人の自分を見つけたのかい」
「そうかもしれません」
「今まで散々責められてきたお前だ。責められる女の気持ちはよく分かるだ
ろうしねぇ……」
「はい、それはもう。女のツボは心得ているつもりです」
「面白そうだねぇ。それじゃ弟子の責める女を、描いてみようかねぇ」
「はい先生。どこまで出来るか分かりませんが、精一杯やらせて頂きます」
「そうかい、それじゃあたしは、もう少し横になってるよ。頃合いを見てま
た顔を出すからね。後は好きにおやり……」
「はい」

先生が部屋に戻ると、あたしはその手錠のような手枷に、滑車のフックを繋
げました。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土