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あなたの燃える手で

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春を画く

12
『アマデウス』というカフェの一番奥の席に、写真で見た、『宮本二葉』が
座っていたのです。

あたしが近づくと、彼女は立ち上がって一礼しました。
あたしも会釈をすると、彼女はもう一度頭を下げました。
小さなテーブルに向かい合って座ると、すぐに脚の綺麗な女の子がオーダー
を取りに来ました。
あたしはアイスコーヒーを二つ注文しました。
すぐにさっきの子がアイスコーヒーを運んできました。それにクリームとガ
ムシロを入れながら、あたしは向かい合った宮本二葉を観察しました。

一言で言えば、彼女は写真通りの人でした。
真っ直ぐに伸びた肩より長い黒髪。半袖のシャツからスラリと伸びた腕は白
く、スカートで膝から下しか見えない脚も、綺麗な脚線が期待できます。
小さな顔にクリっとした可愛い目。小さな鼻に小さな唇。そして彼女の醸す
和のオーラは、春画にはピッタリだと思われたのです。

あぁ、この彼女があられもない姿で責め嬲られるのです。
先生に両手を縛られ、足を閉じられないようにされて……。
でも彼女を見ていると、何故でしょう。あたしも責めたい気持ちになってき
ます。あの痛み苦しみ辱めを、二葉さんに味あわせてやりたいと……。
あたしがされたコトよりもっと酷いコトをもっと長く……。
そんなコトを想像して、あたしは自分が濡れてくるのを覚えました。

当然1日で終わらない創作です。あたしは一週間かそれ以上の時間が欲しい
コトを申し出ると、なんと彼女は、無期限でも良いと言ってきたのです。
ある意味高額バイトとも言えるモデル募集ですが、絵が書き上がった時点で
料金が計算されますから、日数が嵩むほど額は上がっていきます。
"無期限" という彼女の申し出を、あたしは別の意味でも喜び、そして承諾し
ました。そしてスグに契約書にサインをして貰ったのです。
翌日、あたしは彼女を車に乗せる為、待ち合わせ場所へと向かいました。

猛暑の夏も去り、空には秋を思わせる鰯雲が並んでいます。
あたしが駐車場に着いた時、二葉さんは駐車場の入り口で待っていました。
ジージャンにジーンズ姿の彼女は、なんとなくこの間の二葉さんと雰囲気が
違う感じでした。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい。よろしくお願いします」
彼女がシートベルトをすると、あたしは車を出しました。そしてすぐに高速
に乗ったのです。
空いている高速を順調に飛ばし、車は徐々に山深い景色の中へと入っていき
ます。さっきまで彼方にあった山々が目前に迫り、その異様さ見せつけてく
る頃、車は高速を降り、今度は延々と続く九十九折りを登ります。
突然脇道に入ると道はさらに細くなり、山の頂上近くまで登った時、ようや
くアトリエに到着しました。

「ようこそ。誰もいない、誰も来ない山奥の一軒家に」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
エンジンを切ってそう言ったあたしに、二葉さんはそんな挨拶をしました。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土