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あなたの燃える手で

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マリアの一人旅


「なんでお布団二枚? それもピッタリくっつけて……」
「氷見川様から、マリアをたっぷりと可愛がってあげてと……」
「それって女将さんがあたしを……?」
「左様で御座います」

「お夕食まではまだ時間がございますので、宜しければ大浴場の方でおくつ
ろぎ下さいませ」
「大浴場?」
「はい。大浴場は一階に御座います」
「あっ、はい……」
「それでは後ほど改めて参りますので。どうぞよろしくお願い致します」
そう言って丁寧に頭を下げると、女将は襖を閉めた。

女将がいなくなると、マリアは一通り部屋を見て回った。
まだ開けていないドアを開けてみる。するとソコは内風呂だった。
「あっ、ここはお風呂ね。立派な内風呂。もうここで十分な感じだけどぉ、
でもなぁ~」
マリアは内風呂と大浴場を天秤に掛けた。するとやっぱり大浴場が重い。
「そうよねぇ。普段そんな大っきいお風呂入れないし、やっぱりこういう時
は大浴場でしょう。うん。ゆっくり羽を伸ばすにはやっぱり大浴場」
マリアは浴衣のような部屋着に着替えると、大浴場に向かった。

岩風呂を模した大浴場。マリアはそこに一歩踏み込んだだけで、その広さ
を肌で感じた。しかし濃密な湯気が、全体を見渡すことを許さない。
マリアは足元を見つめながら、プールのような湯船の淵へと歩み寄った。
そっと爪先を入れてみる。ちょっと熱い。
「でもまぁ、こんなもんでしょう」
ゆっくりと片足づつ入り、腰まで浸かると、そのまま少し奥へと歩いてみ
る。すると濃い湯気の向こうに、反対側が見えてきた。
「こっち側も岩が……」
どうやら大浴場の周りは、岩に囲まれているらしい。
マリアはそこで肩まで浸かると岩に寄りかかった。もう入り口は白く煙っ
て見えない。

「あのぅ、もしかしてマリアさんですかぁ?」
「えっ……? えぇ、そうですけど」
突然の呼びかけに、マリアはちょっとビックリして声のした方を見た。
すると湯気の向こうから、一人の女性、いや "女の子" が現れた。

明るいベージュ系にカラーをした髪が、クルクルとカールしながら肩へと
流れ、目は丸くつぶらで愛くるしく、唇は桜の花びらのように可愛い。
少しそばかすのある頬に小さな鼻。この子を一言で例えるならば、誰もが
"フランス人形" と例えるだろう。

「やっぱり……。女将さんから聞いてました。マリアさん可愛い……」
彼女はマリアと目が合うと、悪戯っ子のような微笑みを浮かべた。
「そんなっ、可愛いだなんてぇ……」
「申し遅れました。あたしヒメユリといいます。よろしくお願いします」
「マリアです。よろしくお願いします」
湯から出ている二つの頭が、互いにペコリとお辞儀をした。

ヒメユリ……。なんて可愛い名前。
本当にこの子にピッタリな名前だと、マリアは思った。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土