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あなたの燃える手で

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花乃杜病院

12
「そうしたら、今度はそのまま後ろに倒れて仰向けになって」
時江が動かぬ体で、ゆっくりと仰向けになっていく。
そんな時江を、由美は爛々と光る目で見つめていた。

「関節が動かないから大変ね。ほらっ、もっとお尻はこっちよ。あっ、も
う少し後ろ。そんな前にきたら落っこちゃうわ」
由美はわざと手伝わない。手伝わないで、不自由な身体で藻掻く時江を楽
しんでいるのだ。
しかしそれは、時江自身まんざらでもなさそうだった。Mの血がそうさせ
るのか、時江はもっと虐めてと言わんばかりの目で由美を見つめてくる。

「うっふふっ。今の中村さん、なんだか芋虫みたいね」
「芋虫……?」
「そう、芋虫。手も足も使えずに、ベッドの上でゴロゴロムクムク。全身
を波打たせて移動する様は、まさに芋虫そのものだわ」
「そんなっ……」
「あらっ、いいじゃない。あなたにピッタリよ。変態さんには手も足もい
らないの」
「あたしが芋虫なら、吉川さんは……」
「あたし、あたしはカマキリ。無抵抗の芋虫を鎌で挟んで食べるの」

時江の脳裏に、大カマキリの鎌に挟まれた、可愛い芋虫が浮かんだ。
二つの緑色の鎌に挟まれた芋虫は、どうしようもなく藻掻くだけだ。
「そんなっ、芋虫なんて、そんなの嫌……」
「嫌って言ってもしょうがないじゃない。芋虫は芋虫なんだから。あなた
は為す術もなくカマキリに食べられるのよ。そうだ、少しずつ食べてあげ
る。芋虫が死なないように食べていくの。どう? これ。芋虫は生きたま
ま食べられるのよ」
「そんな、残酷な」
「そう、残酷。芋虫は最後まで死ねずに、自分が食べられるのを見ながら
苦しみ藻掻いて死んでいくのよ」
「最後まで無抵抗で……、ですか」
「そりゃそうよ。だって手も足も無いんだから。もちろん声も出ないし、
誰も助けてくれないわ」
『そういえば、この病室は防音だって……」
「そうよ。あなたの声は誰にも聞こえない。声の出ない芋虫みたいに」
「それにあたしの身体は……」
「動かないわね。手も足もない芋虫みたいに。治るまで、まだまだ時間が
掛かるわ」
「それじゃホントに芋虫……」
「あたしに食べられるの。生きたままずぅ~っと。たっぷり時間を掛けて
食べてあげる。本当にむしゃむしゃ食べる訳じゃないけどね」
「吉川さん、あたし、喜んで芋虫になります」
「まぁ、いい子になったわね」
「どうぞあたしを食べて下さい」
「いいわよぉ」
「最後の最後まで、苦しみ藻掻くあたしを楽しんで下さい」
「もちろんよ。あなたの体は極上のディナー。悲鳴は優雅なクラッシッ
ク。あなたの肉に噛み付いて、少しずつ食べてあげる」
「あぁ、嬉しい……」
「さぁ、膝を立てて、足をベッドの端に……」
由美は時江の膝を曲がるだけ曲げた。
「それじゃ、アソコの検査をしますよ」
「はい……」
時江は観念したように返事をした。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土