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あなたの燃える手で

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裏道のモナリザ

3
振り返るとそこには、妖艶に微笑むモナリザの顔があった。
「おやっ、これは可愛らしいお嬢さんだ……」

彼女はさっきまでレジにいたはずなのに……。
そうか、モナリザからこのエロ本は見えないが、あたしからもモナリザは
見えないのだ。知らないうちに後ろに来ていたとしても不思議ではない。
本棚で作られた凹み部分。ポケットの中にいるあたしの後ろに立っている
ということは、彼女は必然的にポケットを塞ぐよう立っているワケだ。
だからあたしに逃げ場はない。
別に何をしたワケではない。でも持っているのはエロ本だ。しかもSM雑誌
とあっては、これはやっぱりバツが悪い。
「あっ、すみません」
あたしは本を本棚に戻そうとした。
「いいんだよ。立ち読みくらい。ごゆっくりどうぞ……」
そういうと、レジへと戻っていった。
あたしは戻そうとした本を引き寄せると、さっきのページを開いた。



アリアが中へ入ると、後ろでドアが勝手に閉まった。
「何か御用かい? お嬢さん……」
「あのう、ここは白い薔薇教会でしょうか。傷ついた人に癒しをくれると
いう……」
「残念ながらここは "白いバラ教会" ではないよ。 "黒い森の教会" さ。見
た通り、黒い森の中にあるだろう」
「はい。確かに……」
「それで……? 何か心が傷つくことでもあったのかい?」
「はい。実は……」
アリアは恋人と別れた経緯を話した。それは一言で言うなら、彼の浮気が
原因だった。しかしアリアの心の傷は深く、こうして教会を探してやって
きたのだった。
「そうかい。でも安心おし、ここでも癒してあげられるよ。特に可愛いお
嬢さんはねぇ」
「えっ?」
「ここまで寒かったろう。取り敢えず暖かいスープでお飲み」
アリアが出されたスープを飲むと、あっという間に眠ってしまった。
そして気がつくと、アリアは全裸でX字に磔にされていた。そしてそんな
アリアを、黒い修道服の女が嘲笑っていた。



なるほど、この挿絵はこの場面か。恵は改めて挿絵を見た。
「あれっ? この人?」
黒い修道服の女。彼女はフードを被っているのだが、そのフードの中の顔
が似ている。今はあたしの後ろ、レジにいるあの裏道のモナリザに……。
そしてもう1人。それは磔になってるアリアなのだが、その顔があたしに
そっくりなのだ。
そして更に、さっきレジに戻ったはずのモナリザが、いつのまにかあたし
の後ろに立っていて……。

彼女の微笑みを見た瞬間、あたしは目眩を覚えた。
そして気がつくと、あたしは全裸でX字に磔にされていた。そしてそんな
あたしを、モナリザが嘲笑っているのだ。
なんだろうこれは……。
まるで何か不思議な力で、小説の中に引き摺り込まれてしまったかのよう
だった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土