狩人はバニラの香り
2
『アマデウスの二人 1 』
午後10時、閉店後の「アマデウス」。
通りに面したガラス張りの壁には薄いピンクのロールブラインドが降ろされ、ドアにはシャッターが降りている。外から店の中は見えなかった。
店内の照明も奥の半分は落とされ、ママのいるテーブルのある入口寄りの照明だけが点いている。
間接照明のようにママの顔を照らす照明は、日本人離れした顔の陰影を際立たせ、妖艶な熟女の横顔を作っていた。
響子は店の奥の厨房で、白いシャツの袖をまくって洗い物をしている。
ママは羽織っていたグレーのサマーニットを椅子の背に掛け、黒のノースリーブ姿になると、店のテーブルで帳簿を付けながら響子に声を掛けた。
「響子ちゃん。洗い物終わった?」
「はーい。ママ。もうすぐ終わりまーす」
程なく水道の音も止み、響子は両手を乾かすようにしながらママの所にやって来た。ミニスカートから覗く脚を揃えて、隣の椅子に腰掛けた。
「ねぇ、響子ちゃん。朝の子の話だけどね。いつも電車で一緒になる」
「いつもって、1週間くらい前からですよ」
「ああ、そうだったかしら。触ってきたんだって、電車の中で」
「ええぇ、そうなんですよ。あたしに気があるみたいで」
「それで、その子どうしたの?」
ママは付け終わった帳簿を閉じると、響子を見つめた。
「どうって、彼女慌てて手を引っ込めちゃって。あたしとしてはもっと触って欲しいくらいで、でも、そこで電車が駅に着いちゃって、あたし降りちゃったんですけど」
「まぁ、そうなの。残念だったわねぇ」
あと数年で40歳になるとは思えない、肌つやのいい顔を響子に近づけた。
「その子、ママのタイプだと思うなぁー」
そう言って響子もママを見つめる。
「あらっ、本当? ねぇ、連れて来れない? ここに」
ママの手が響子の腰に回された。
「そう言われても……いきなりとはいかないし」
「うふっ、何も今日明日に連れてきてなんて言ってないわよ」
ママの唇が響子の頬に触れた。
響子もママの唇に自分の唇を重ねた。ネットリとした熟女の舌が、響子の舌に絡みつく。一回り以上違う2人の舌が糸を引いて絡まり合う。
「あっ、ママっ」
2人はお互いのの二の腕を掴んだ。響子の手には熟れた柔らかな肉の感触が、ママの手には若く張りのある肉の感触が気持ちいい。
「ねぇ、明日の朝。その子に挨拶してみたら」
ママが唇を離して言った。
「なるほど、してみようかしら」
もう1度唇を重ね、舌を伸ばして口の中に差し込んだ。その舌を吸い合い、しゃぶり合った。
「今日はもう遅いから、帰りましょう」
「は~い。ママ。お疲れ様でした」
「アマデウス」を出た二人を、青い月が見下ろしていた。
『アマデウスの二人 1 』
午後10時、閉店後の「アマデウス」。
通りに面したガラス張りの壁には薄いピンクのロールブラインドが降ろされ、ドアにはシャッターが降りている。外から店の中は見えなかった。
店内の照明も奥の半分は落とされ、ママのいるテーブルのある入口寄りの照明だけが点いている。
間接照明のようにママの顔を照らす照明は、日本人離れした顔の陰影を際立たせ、妖艶な熟女の横顔を作っていた。
響子は店の奥の厨房で、白いシャツの袖をまくって洗い物をしている。
ママは羽織っていたグレーのサマーニットを椅子の背に掛け、黒のノースリーブ姿になると、店のテーブルで帳簿を付けながら響子に声を掛けた。
「響子ちゃん。洗い物終わった?」
「はーい。ママ。もうすぐ終わりまーす」
程なく水道の音も止み、響子は両手を乾かすようにしながらママの所にやって来た。ミニスカートから覗く脚を揃えて、隣の椅子に腰掛けた。
「ねぇ、響子ちゃん。朝の子の話だけどね。いつも電車で一緒になる」
「いつもって、1週間くらい前からですよ」
「ああ、そうだったかしら。触ってきたんだって、電車の中で」
「ええぇ、そうなんですよ。あたしに気があるみたいで」
「それで、その子どうしたの?」
ママは付け終わった帳簿を閉じると、響子を見つめた。
「どうって、彼女慌てて手を引っ込めちゃって。あたしとしてはもっと触って欲しいくらいで、でも、そこで電車が駅に着いちゃって、あたし降りちゃったんですけど」
「まぁ、そうなの。残念だったわねぇ」
あと数年で40歳になるとは思えない、肌つやのいい顔を響子に近づけた。
「その子、ママのタイプだと思うなぁー」
そう言って響子もママを見つめる。
「あらっ、本当? ねぇ、連れて来れない? ここに」
ママの手が響子の腰に回された。
「そう言われても……いきなりとはいかないし」
「うふっ、何も今日明日に連れてきてなんて言ってないわよ」
ママの唇が響子の頬に触れた。
響子もママの唇に自分の唇を重ねた。ネットリとした熟女の舌が、響子の舌に絡みつく。一回り以上違う2人の舌が糸を引いて絡まり合う。
「あっ、ママっ」
2人はお互いのの二の腕を掴んだ。響子の手には熟れた柔らかな肉の感触が、ママの手には若く張りのある肉の感触が気持ちいい。
「ねぇ、明日の朝。その子に挨拶してみたら」
ママが唇を離して言った。
「なるほど、してみようかしら」
もう1度唇を重ね、舌を伸ばして口の中に差し込んだ。その舌を吸い合い、しゃぶり合った。
「今日はもう遅いから、帰りましょう」
「は~い。ママ。お疲れ様でした」
「アマデウス」を出た二人を、青い月が見下ろしていた。