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あなたの燃える手で

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水蜜楼別館離れ


奈津は女将に案内され本館から別館に入り、離れへと向かっていた。
女将の後ろを歩く奈津は、そんな彼女の美しさに目を奪われていた。
それは円熟の色香とでもいうのだうか。怪しげなフェロモンは女の奈津でさえ
ムラムラとした気にさせるものがある。その感覚は、女子校から女子大に進ん
だ奈津にとってわからないわけではない。しかしそれはよくある先輩への密か
な憧れ程度のことだ。
でもこの人とだったら、間違いが起こっても……。そんな気さえしてくる。そ
れほどの美しさだった。

「ここから先が離れでございます」
それは別館の大浴場に向かう途中だった。通路の右側に引き戸があり、女将は
それを開けると、緩やかにカーブする通路を歩いていく。
通路の左の窓からは遠くに山脈を、右側には青い渓流を見ることができた。
そんな通路を歩きながら、女将がバスガイドのような仕草で言った。
「あれが離れになります」
「あれが……」
見れば右側の小さな山の斜面に、一軒家のような離れが見える。
それからほどなく、二人は離れに到着した。
「どうも、お疲れ様でした」
女将は引き戸を、先に奈津を中に入れた。、

そこは直線で構成された、完全完璧な和の空間だった。女将は室内を巡りなが
ら奈津を案内する。
新しい畳の香り。太い柱、太い梁。見慣れたような初めて目にするような、そ
んな不思議な連続は、露天風呂で終わりを告げた。
「あぁ、露天風呂ぉ~」
「はい、源泉掛け流しでございますよ。花村様」
女将がニッコリと笑う。
「はいぃ、嬉しいですぅ」
露天風呂は完全な屋外にあり、ちょっと周りの目を気にしてまう。
「あのう、ここって本当に覗かれたりしません?」
「それは大丈夫です。ここにから見える山は全部うちの敷地でして、誰も入れ
ませんし。本館、別館は山の裏になりますので、絶対見られることはございま
せん」
「なるほど、だからここまでくる通路が、ずっとカーブしていたんですね」
「はい、山裾に沿って本館別館の裏に回り込む感じでございます」
確かに離れの裏は小高い山だ。つまり本館別館と離れの間には、この山がある
ということになる。

女将は奈津に一通りの説明すると、背を向け出口へ向かいかけた。奈津はそん
な女将を呼び止めた。
「あのう、女将さん。お名前はなんと……」
「あっ、はい。由奈と申しますが、女将で結構でございますよ」
女将振り返ると、突然奈津の右手を両手で挟んだ。
「何なりとお申し付けください」
女将は奈津の手を撫でさすりながら、妖艶な笑顔で奈津を見つめている。
「あのぅ女将さん、あたし……」
そんな女将の手を奈津も握った。すると女将は奈津の耳に口を寄せ、こう囁い
たのだ。
「いいんですよ。わかっていました。一目見た時から……」
「女将さん……」
「実はあたしも……。宜しければ今夜お呼びください。たっぷりサービスさせ
ていただきます」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土