秘湯の夜
3
「どうぞ、そうぞ。入って入って」
二階から目薬? いや棚からぼた餅だっけ? どっちでもいいけど、こんなことってあるのねぇー。私は二つ返事で彼女を部屋に招き入れた。
「でもツマミがないのよねぇ。さっき食べちゃったから」
「いいの。あたしはこれだけで」
「でもぉ、ツマミなしじゃねぇ」
彼女は腰を屈めて、缶ビールをテーブルに置いた。
「いいのよ。飲みましょう」
私達は向かい合って腰を下ろすと、缶ビールを開けた。
「カンパーイ」
缶と缶をぶつける、なんか味気ない音の乾杯だった。
「璃緒さんは東京から?」
「ええ、今日着いたばかりなの」
あれっ? 私まだ名前言ってないような。まっ、いっか。
「そう。暑いでしょココ。盆地だから」
「ホントに。もう少し涼しいかと思っていたから。私まだあなたの名前を……」
「ごめんなさい。あたしは由里」
「由里さんね。可愛い名前。小百合でも百合子でもなくて由里、さんかぁ」
「由里でいいわ、さん付けなんて。ここは静かでいい所よ。あたしは好き」
でも私はここでは暮らせないなぁ。都会の便利さが染みついているこの体では。
由里さんは地元なんだぁ。そうかぁ、こんな綺麗な人がねぇ。
由里は私より3つ位年上に見えた。碧の炎が灯ったような切れ長の目。落ち着いた所作。しなやかで長い指から続く綺麗な肌はホントに羨ましい。
いいなぁ、生まれ変わるなら由里になりたい。
それから私はイイ感じで酔いが回っていった。おかしいな? 缶ビール1本で。
私、こんなに弱かったっけ? そんなことを思っている時、由里が私のバッグの上のボディローションを見つけた。
「こういうの使ってるのね。こんなオシャレなの、こっちでは売ってないから」
「えっ、そうなの?」
まっ、そんだけ綺麗な肌ならねっ。ローションなんていらないかもね。
「今日はもう塗ったの?」
「ううん、まだだけど」
「塗ってあげましょうか?」
「由里も使っていいよ」
「あたしはいいわ。悪いから。ねっ、塗ってあげる」
「うっ、うん。それじゃ、塗ってもらおうかな」
由里は私の横に来ると、浴衣の左袖をまくり上げた。そしてローションに濡れた冷たい由里の手が、ああぁ~気持ちいぃ。何コレ。
由里の手は手首から肘へそして、二の腕へとローションを塗り伸ばしていく。
私の左手に不思議な感覚が走った。気持ちいい。そう、気持ちいいの。
溜息が出るほど気持ちいい。何だろうこの感覚は。
由里が右の袖をまくり上げた。そしてそこにもローションを塗っていく。塗られる程に両腕が痺れるような快感に包まれていく。まるでローションに媚薬でも入っているみたい。でもこれ自分のだし。あぁ、もっと塗って欲しい。もっと。
「もっと塗る?」
「うん。お願い」
なんてタイムリーな。グッジョブ、由里。
「じゃ、背中ね」
私は由里に背を向けた。浴衣の前を少しはだけ、肩甲骨まで浴衣を下ろした。
「もっと、これじゃ塗れないでしょ」
「だって下着付けてないし。ノーブラノーパンだもん」
「もう、女同士なんだからいいでしょ」
そりゃそうだけど。あぁでも、もっと塗って欲しいし。まっ、いっか。
「うん。そうだね」
結局私は浴衣から両腕を抜き、上半身裸になってしまった。
「ふふっ、そうそう」
そして、あの濡れた手が、きっ、来たっ。あぁ、気持ちいいぃ。さっきよりローション多目で来ましたかぁ。ああぁやっぱり、またこの快感が。
もしかしてあたし、感じてる? まさかっ。でもこの気持ちよさは……。
もうこれ位にしておかないと。でもこの柔らかな手の感触。このヌメリが。
由里はもう1度ローションを掌に取った。今度は肩から首筋、そして手を前に回して鎖骨を、脇から脇腹までローションを伸ばしていった。
もうダメ、ホントにダメ。限界かも。でも、もうやめられない。
「ねぇ、脚にも塗ってあげる。布団に俯せになって」
「うん」
自分でも驚く位の軽い返事。そんな場合じゃないのに、この体が……。
私は隣の部屋の、あのパリパリシーツに身を横たえた。これがまた気持ちいい。
由里は私の腰の横当たりに座った。
「浴衣、取っちゃうよ」
「うん」
また、またそんな返事して。でも浴衣は剥ぎ取られて、私は全裸に。初対面なのに。旅の恥はナマステっじゃない、かき捨てって、こういう意味?
私は両脚をピッタリと閉じた。由里の手はゆっくりと足首から這い上がってくる。
あぁ、どうしよう。気持ちいいよぅ。でも恥ずかしぃ。でもやめないでぇ。
柔らかな手は太腿の裏を通り、私のお尻にローションを塗り伸ばしていく。
「ちょっと開いて」
由里は私の足首を持つと左右に広げ、その空いたスペースに自分が座った。
ああぁ、もう。きっともう丸見えだ。もうっ、もういっか。
そう、これは、エステだ。エステなんだ。そう、今私はエステに来ている。
由里の指が脚の付け根。パンティラインを往復している。
その頃には、私は完全に感じていた。だってアソコがアソコが……ヌルって。
その時、由里が言った。
「あたしも脱いでいい?」
「どうぞ、そうぞ。入って入って」
二階から目薬? いや棚からぼた餅だっけ? どっちでもいいけど、こんなことってあるのねぇー。私は二つ返事で彼女を部屋に招き入れた。
「でもツマミがないのよねぇ。さっき食べちゃったから」
「いいの。あたしはこれだけで」
「でもぉ、ツマミなしじゃねぇ」
彼女は腰を屈めて、缶ビールをテーブルに置いた。
「いいのよ。飲みましょう」
私達は向かい合って腰を下ろすと、缶ビールを開けた。
「カンパーイ」
缶と缶をぶつける、なんか味気ない音の乾杯だった。
「璃緒さんは東京から?」
「ええ、今日着いたばかりなの」
あれっ? 私まだ名前言ってないような。まっ、いっか。
「そう。暑いでしょココ。盆地だから」
「ホントに。もう少し涼しいかと思っていたから。私まだあなたの名前を……」
「ごめんなさい。あたしは由里」
「由里さんね。可愛い名前。小百合でも百合子でもなくて由里、さんかぁ」
「由里でいいわ、さん付けなんて。ここは静かでいい所よ。あたしは好き」
でも私はここでは暮らせないなぁ。都会の便利さが染みついているこの体では。
由里さんは地元なんだぁ。そうかぁ、こんな綺麗な人がねぇ。
由里は私より3つ位年上に見えた。碧の炎が灯ったような切れ長の目。落ち着いた所作。しなやかで長い指から続く綺麗な肌はホントに羨ましい。
いいなぁ、生まれ変わるなら由里になりたい。
それから私はイイ感じで酔いが回っていった。おかしいな? 缶ビール1本で。
私、こんなに弱かったっけ? そんなことを思っている時、由里が私のバッグの上のボディローションを見つけた。
「こういうの使ってるのね。こんなオシャレなの、こっちでは売ってないから」
「えっ、そうなの?」
まっ、そんだけ綺麗な肌ならねっ。ローションなんていらないかもね。
「今日はもう塗ったの?」
「ううん、まだだけど」
「塗ってあげましょうか?」
「由里も使っていいよ」
「あたしはいいわ。悪いから。ねっ、塗ってあげる」
「うっ、うん。それじゃ、塗ってもらおうかな」
由里は私の横に来ると、浴衣の左袖をまくり上げた。そしてローションに濡れた冷たい由里の手が、ああぁ~気持ちいぃ。何コレ。
由里の手は手首から肘へそして、二の腕へとローションを塗り伸ばしていく。
私の左手に不思議な感覚が走った。気持ちいい。そう、気持ちいいの。
溜息が出るほど気持ちいい。何だろうこの感覚は。
由里が右の袖をまくり上げた。そしてそこにもローションを塗っていく。塗られる程に両腕が痺れるような快感に包まれていく。まるでローションに媚薬でも入っているみたい。でもこれ自分のだし。あぁ、もっと塗って欲しい。もっと。
「もっと塗る?」
「うん。お願い」
なんてタイムリーな。グッジョブ、由里。
「じゃ、背中ね」
私は由里に背を向けた。浴衣の前を少しはだけ、肩甲骨まで浴衣を下ろした。
「もっと、これじゃ塗れないでしょ」
「だって下着付けてないし。ノーブラノーパンだもん」
「もう、女同士なんだからいいでしょ」
そりゃそうだけど。あぁでも、もっと塗って欲しいし。まっ、いっか。
「うん。そうだね」
結局私は浴衣から両腕を抜き、上半身裸になってしまった。
「ふふっ、そうそう」
そして、あの濡れた手が、きっ、来たっ。あぁ、気持ちいいぃ。さっきよりローション多目で来ましたかぁ。ああぁやっぱり、またこの快感が。
もしかしてあたし、感じてる? まさかっ。でもこの気持ちよさは……。
もうこれ位にしておかないと。でもこの柔らかな手の感触。このヌメリが。
由里はもう1度ローションを掌に取った。今度は肩から首筋、そして手を前に回して鎖骨を、脇から脇腹までローションを伸ばしていった。
もうダメ、ホントにダメ。限界かも。でも、もうやめられない。
「ねぇ、脚にも塗ってあげる。布団に俯せになって」
「うん」
自分でも驚く位の軽い返事。そんな場合じゃないのに、この体が……。
私は隣の部屋の、あのパリパリシーツに身を横たえた。これがまた気持ちいい。
由里は私の腰の横当たりに座った。
「浴衣、取っちゃうよ」
「うん」
また、またそんな返事して。でも浴衣は剥ぎ取られて、私は全裸に。初対面なのに。旅の恥はナマステっじゃない、かき捨てって、こういう意味?
私は両脚をピッタリと閉じた。由里の手はゆっくりと足首から這い上がってくる。
あぁ、どうしよう。気持ちいいよぅ。でも恥ずかしぃ。でもやめないでぇ。
柔らかな手は太腿の裏を通り、私のお尻にローションを塗り伸ばしていく。
「ちょっと開いて」
由里は私の足首を持つと左右に広げ、その空いたスペースに自分が座った。
ああぁ、もう。きっともう丸見えだ。もうっ、もういっか。
そう、これは、エステだ。エステなんだ。そう、今私はエステに来ている。
由里の指が脚の付け根。パンティラインを往復している。
その頃には、私は完全に感じていた。だってアソコがアソコが……ヌルって。
その時、由里が言った。
「あたしも脱いでいい?」