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あなたの燃える手で

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九尾の猫達

19
それは体の中からやってきた。最初は湿布を貼った時のような火照りが。
次に火照りとバトンタッチするように、皮膚の奥から痒みが生まれてくる。
次第に強まる痒み。それはとどまるところを知らず、無制限の痒みとなってリ
リに襲いかかっていく。当然リリの全神経は、その痒みへと集中していった。

「あっ、痒いっ、なんか痒いですぅ」
「そう。薬が浸透したのね。だとすると、すぐに本格的に痒くなるわよ」
「あぁなんか、ムズムズする。あぁ痒いっ、痒いっ。どうにかしてください」
「1度浸透したら、もうどうしようもないわよ。何しろ薬はもう染み込んじゃ
ってるんだから」
「何か、何か、痒みを止める薬は……」
「あらっ、そんなもの無いわよ。あったとしても使わないけどね。うふふっ」
「あぁ~痒い、痒い痒い、痒いぃ~。すごく痒いですぅ」
「そりゃそうよ。何しろ人の皮膚を痒くする為に、科学的に調合された薬なんだ
から。蚊に刺された時とはわけが違うわよ」
「でも、こんなに痒いなんて。あぁ掻いて、掻いてください。あぁ痒いぃ~」
「あなたはもう痒み地獄に突き落とされたの。さぁ、それじゃそろそろ、これを使ってみましょうか」
月子は筆の白い穂先をバラバラにほぐしながら、それをリリに見せた。
「いっ、嫌っ、そんなもので……」
「うふふっ、剃ったばっかりから、薬も染み込みやすみたいねぇ……」
「嫌っ、嫌嫌っ、やめてぇ~」
「筆先でそぉ~っと、そぉ~っと……、ほらっ、ほらっ、んん? どう?」

月子はバラけた穂先で、そっと剃り跡に触れた。それはまるでアリが歩いてい
るような、それなソフトな触り方だった。
「あっ、ひぃぃ~、だめっ、そんなっ、あぁl~あぁぁ~嫌ぁぁ~」
「あらあら、そんなに堪らないのぉ? ほらっ、そぉ~っと、そぉ~っと」
「嫌っ、ひぃ~痒い、痒い痒いっ。あぁ~掻いてっ、掻いてっ、掻いてぇ~」
「あらあら、"どうぞ月子様のお好きになさってください" はどうしたの? さ
っきまではそう言ってたでしょう」
「そんなっ、今は、今は、あぁ~痒い、痒いぃぃ~」
「今は? "今はそんな余裕はない" っていうことね。いいのよそれで。その方が責め甲斐があるもの。余裕綽々のあなたより、もう限界に達して我慢できない耐えられない。そういうあなたをじっくりと虐める方がずっと楽しいもの」
「はぁぁ~、嫌っ、痒いっ、痒い、あぁ痒いぃぃ~」
「それにしても、ホントに痒そうねぇ」
月子はバラけた筆先を垂直に立て、今度は毛先でチクチクと刺すようにした。
それも効果は絶大で、リリの痒みを増大させるようだった。
「ひぃぃ~やめてっ、やめてぇぇ~」
「どう? チクチクも辛そうねぇ。んん? どうしたの? 我慢できない?」
「あぁぁ~、もう我慢できないぃ~。だからっ、だからもうやめてぇ」
「ほらっ、この辺も、この辺も、ここも、ここも、ぜぇ~んぶ痒いでしょう」
「痒いっ、痒いですぅ。あぁお願いしますぅ、掻いて、掻いてくださいぃぃ」
「まさかぁ、掻くわけ無いでしょう」
「あぁ、お願いしますぅ、ホントに、ホントに我慢できないんですぅ」
「ほらっ、ほらっ、ほぉ~ら堪らない。あなた毛穴ぜぇ~んぶチクチクしてあげましょうかぁ? ほぉ~らっ、ほぉ~らっ……」
「嫌ぁぁ、もうだめっ、もう、もう我慢できないぃ~」
「そう、我慢できないのぉ~。でもやめない。やめてあげない。今からじっく
りくすぐってあげる。だってまだ始まったばかりだもん。そうでしょう」
そう言った月子の口元は、魔女のように割れていた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土