2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

白い魔女 5



白い魔女 5
ー奴隷の紋章ー



PROLOGUE
「あらっ、院長。おはようございます」
夢の森病院婦長の御堂雪絵は、1階の外来受付の前で、院長の如月真弓とばっ
たりと出くわした。
「おはよう、御堂婦長」
「どうしたんです? こんな時間に……」
「チョット寝坊しちゃって……」
2人は受付の前を通り過ぎると、そのままエレベータへと向かって歩いた。
「お疲れなんじゃ……、ないですか?」
御堂は真弓の二の腕に自分の腕をくっつけた。
「そうね、ここのところ忙しかったから」
真弓が御堂の顔を見ると、彼女は悪戯な笑みを浮かべている。
「どうしたの? そんな顔して……」
「実は院長……」
2人はエレベターの前で立ち止まると、御堂が上へのボタンを押した。
御堂は後ろを振り返り、誰もいないのを確認すると小声で真弓に囁いた。
「院長好みの患者が、来週検査入院で来ます」
「あらっ、そう」
御堂にそう言われ、真弓が何気に辺りを気にしだした時、エレベーターの扉が
音もなく開いた。




双葉 栞は夢の森駅のホームに降り立った。
彼女は今日から、夢の森病院で検査入院をすることになっている。
この駅で降りるのは初めてだが、病院までの行き方はあらかじめ聞いてある。
その案内通りに、栞は人もまばらなをホームを東口へと向かった。
東口の改札を出ると、そこにはまだ昭和の匂いが残っていた。そんな街並みを
横目に栞は線路沿い歩いた。するとすぐに、前方に十メートルを越える大きな
銀杏の木が見えてきた。
「あった、あれだわ……」
案内で聞いた大きな銀杏の木が見えた事で、栞は少し安心した。あの銀杏の木
は病院の敷地内に立っているのだ。後はあの銀杏の木に向かって歩けばいい。

そして10分後、栞は夢の森病院の正面入口に立っていた。
目印だった大きな銀杏、その銀杏の木を囲むように建つ白い建物。それが夢の
森病院だった。
今日から数日間、検査とはいえ入院することになるのだ。そんなこともあり、
彼女は少し緊張した面持ちで、院内に足を踏み入れた。


この病院は外来患者の訪れる2階建てのA棟と、入院施設のある4階建てのB
棟の2棟から構成されている。
この2棟は向かい合い、渡り廊下で結ばれている。
A棟とB棟の間は中庭になっていて、そこにあの大銀杏がある。
この病院を空から見れば、白いコの字の中に大きな銀杏が見えるはずだ。
因みに外来受付はA棟1階に、院長室はB棟4階の1番奥にある。


院長室にはシャネルの香りが仄かに漂っていた。
20畳程の部屋の右側にはソファとローテーブルが、反対側の壁には50インチ
はあるモニターがあった。
正面の窓からは大銀杏のある中庭が見下ろせ、その窓の手前には大きな机があ
った。机の上には無造作に書類が積み上げられ、『双葉 栞』と書かれたファ
イルがその一番上に乗っていた。

「真弓、来たわよ。たった今受付から連絡があったわ」
「そう、それじゃ予定通りに……。ねっ、雪絵」
「任せといて」
2人は言うまでもなくそういう関係で、2人きりに時は互いに名前で呼び合っ
ている。
真弓は御堂とキスをすると、舌をねじ込むように差し込んだ。
「今はここまで、続きは後でゆっくり……、ねっ、真弓」
「そうね……」
そして御堂だけが院長室を出て行った。


双葉 栞は受付前の長いすに座って待っているハズだ。そうするように受付に
頼んである。
ファイルから彼女の年齢が35歳で、身長が160センチであること、中肉中背
であることは知っていた。しかし受付前には数人の人間が座っている。
「双葉さん? 双葉 栞さん?」
御堂が大きな声で名前を呼ぶと、目の前に座っていた女性が立ち上がった。
「あっ、はい」
「双葉 栞さん?」
「はい、双葉です……」
「入院の手続きは済ませました?」
「はい……」
「そう、それじゃこちらにお願いします」
御堂は栞に有無を言わせず、廊下を入院棟であるB棟に向かって歩き出した。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土