怪盗ムーンライト
25
七海美術館では、5月25日から『ルパンの宝石展 Ⅱ』が開催される。
展示品のメインは『アルセーヌの瞳』と呼ばれる最高美ルビーだ。
今回はジェシカ・アンダーソンの肝いりもあり、前回にも増して人員の増員、
警備体勢、警戒が見直され、まさに万全の体制が取られた。
その頃、七海美術館では小さな騒動が起こっていた。
「館長! 館長……!」
「奈緒子、少しゆっくりさせて頂戴。もう警察の対応に疲れちゃったわ」
七海は事務所に走り込んできた奈緒子に、長い溜息をついた。
「でも、でもまた予告状が……」
「えっ……? また予告状?」
「はい、ポストに……」
それは前回と同じ真っ赤な洋封筒に、黒い文字で "予告状" と書かれている。
奈緒子はそれを七海の机に置いた。
「あぁ、また……」
七海は封筒を開封し、中の三つ折りになった便箋を引っ張り出すと、机に座っ
たままそれを読んだ。
>>>
Sat, June 1, 2013 PM12:00
七海美術館 『ルパンの宝石展 Ⅱ』 に展示する、
最高美のルビー 『アルセーヌの瞳』 をいただきます。
なお当方に絶対の自信あり。十分な警戒をオススメする。
怪盗ムーンライト
>>>
「あぁ、もう、どうしてウチばっかり狙われるの。世界中に素晴らしい美術館
はイッパイあるのに……。ホントにもうどうしてよぉ」
「館長……」
七海は便箋を封筒に戻すと、それを奈緒子に差し出した。
「とにかくコレを警察に……」
「はい」
奈緒子は封筒を受け取ると館長室を出て行った。
「まったくこのままだと、『怪盗ムーンライトの予告状展』が開けそうだわ」
七海は1人で笑うと、傍らのコーヒーを一口飲んだ。
「竜胆さん、たった今、七海美術館にムーランライトからの予告状が届いたそ
うです」
カンナはそれを竜胆に渡した。
彼女の隣にジェシカ・アンダーソンが並び、一緒にそれを覗き込んだ。
「んっ、今回は時間が……」
「確かに……、時間が指定してあるな」
宝石展が開催されてから1週間後の土曜日。それも昼の12時か。
「この日は休館して貰いますか? 竜胆さん」
「そうだな……。どう思う? ジェシカ」
「時間指定には何か意味があるのか。もしそれが分かれば、そこを逆手に取る
という手も……」
ジェシカと竜胆は目を合わせた。
この2人なら今度は逮捕できるかも……。カンナはふとそう思った。
七海美術館では、5月25日から『ルパンの宝石展 Ⅱ』が開催される。
展示品のメインは『アルセーヌの瞳』と呼ばれる最高美ルビーだ。
今回はジェシカ・アンダーソンの肝いりもあり、前回にも増して人員の増員、
警備体勢、警戒が見直され、まさに万全の体制が取られた。
その頃、七海美術館では小さな騒動が起こっていた。
「館長! 館長……!」
「奈緒子、少しゆっくりさせて頂戴。もう警察の対応に疲れちゃったわ」
七海は事務所に走り込んできた奈緒子に、長い溜息をついた。
「でも、でもまた予告状が……」
「えっ……? また予告状?」
「はい、ポストに……」
それは前回と同じ真っ赤な洋封筒に、黒い文字で "予告状" と書かれている。
奈緒子はそれを七海の机に置いた。
「あぁ、また……」
七海は封筒を開封し、中の三つ折りになった便箋を引っ張り出すと、机に座っ
たままそれを読んだ。
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Sat, June 1, 2013 PM12:00
七海美術館 『ルパンの宝石展 Ⅱ』 に展示する、
最高美のルビー 『アルセーヌの瞳』 をいただきます。
なお当方に絶対の自信あり。十分な警戒をオススメする。
怪盗ムーンライト
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「あぁ、もう、どうしてウチばっかり狙われるの。世界中に素晴らしい美術館
はイッパイあるのに……。ホントにもうどうしてよぉ」
「館長……」
七海は便箋を封筒に戻すと、それを奈緒子に差し出した。
「とにかくコレを警察に……」
「はい」
奈緒子は封筒を受け取ると館長室を出て行った。
「まったくこのままだと、『怪盗ムーンライトの予告状展』が開けそうだわ」
七海は1人で笑うと、傍らのコーヒーを一口飲んだ。
「竜胆さん、たった今、七海美術館にムーランライトからの予告状が届いたそ
うです」
カンナはそれを竜胆に渡した。
彼女の隣にジェシカ・アンダーソンが並び、一緒にそれを覗き込んだ。
「んっ、今回は時間が……」
「確かに……、時間が指定してあるな」
宝石展が開催されてから1週間後の土曜日。それも昼の12時か。
「この日は休館して貰いますか? 竜胆さん」
「そうだな……。どう思う? ジェシカ」
「時間指定には何か意味があるのか。もしそれが分かれば、そこを逆手に取る
という手も……」
ジェシカと竜胆は目を合わせた。
この2人なら今度は逮捕できるかも……。カンナはふとそう思った。