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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト

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「とにかく竜胆、考え方の違いこそあれ、私たちは手を組むしかない。私も射
殺は最終的な手段と考えている。まずは奴を追い詰めることが先決……」
「私もそれには賛成だ」
そこで2人はようやく固い握手を交わした。

「ところで竜胆、ムーンライトは今回『ルパンの涙』を盗んだわけだが、あの
宝石にはあと2つ、『アルセーヌの瞳』と『クラリスの首飾り』という宝石
が、セットのようになっているのを知っているか」
「知っている。『アルセーヌの瞳』は世界最高美と言われるルビー。『クラリ
スの首飾り』は至高美の首飾りと言われ、ダイヤ、ルビー、エメラルドを散り
ばめたネックレスだろう。まだ見たことはないが」
「そうだ。この3つをルパンの宝石という呼び方をする者もいる」
「つまり月光はその2つも狙うと……」
「ゲッコウ……?」
「あぁ、あたしはムーンライトをそう呼ぶ。その方が言いやすいから」
「ふっ、まぁいい。ヤツはその2つを120%狙っている」
「なぜそう言いきれる?」
「理由は2つ。1つは『アルセーヌの瞳』と『クラリスの首飾り』が、今この
日本にあり、そして同じ美術館で展示されるということだ」
「しかし今まで月光は年に1度しか仕事をしていない。それも同じ美術館を
狙ったこともない。今回の七海美術館が特殊な例だ」
「確かに、それがヤツの逮捕を困難にしている。だがもし、ヤツがルパンの宝
石は3つで1つと考えていたら?」
「なに?」
「もし3つで1つと考えるなら、ヤツはまだ3分の1しか仕事をしていないこ
とになる」
「じゃあと2回……、月光が現れると……?」
「わたしはそう睨んでいる。そして2つ目の理由は資金援助だ」
「資金援助……」
「今回犯行が行われ、本来ならどこかの国の施設に多額の資金援助がされても
いいころだ。しかし今回はそれがまだ行われていない」
「そうか、資金援助は3つの宝石を手にしてから……、ってことか」
「そうだ。当然そのほうが額も釣り上がる」

確かに彼女の言うとおりだ。そう考えるならば、月光があと2つの宝石を狙っ
ているというのも頷ける。もし今まで通り次の犯行が来年になるというのなら
まだしも、まだ月光が現れる可能性があるのなら、ここはそれに備えるべきで
はないだろうか。
ジェシカ・アンダーソン……。この女、正直好きになれないが、なかなか使え
そうではある。さすがはICPOといったところか……。
竜胆は内心、彼女のことを見直していた。

「竜胆、わたしを今回犯行の行われた七海美術館に連れて行ってくれないか」
「わかった」
竜胆とジェシカ、そしてヒロミとカンナも車に乗り込み。4人は七海美術館へ
と向かった。


「これが七海美術館か」
駐車場に止めた車から降り、ジェシカは美術館を見てそう言った。
「当日、宝石を運んだ車もこの駐車場に?」
「そうです。ちょうど今この車を駐車しているところに。あたしとヒロミさん
も警備に付いてましたから」
ジェシカは辺りを見回しながら、建物へと近づいていった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土